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買う値打ちは無い ![]()
私は日経を10年続けて読んでおります。今まで読んだ連載小説の中でこの小説が群を抜いてくだらなく、早く終わって欲しいと連載開始直後から切実に思っております。
小説家なら、なぜそれぞれの登場人物をもっと色鮮やかに描き出せないのでしょうか?主人公の魅力が全く感じられません。主人公の紅子はただの自己愛の塊にしか見えません。紅子がお金で買った男、「京」との関係も、精神的な繋がりに結びつく出来事が殆どなく、ただ体の関係だけがあるだけ。紅子の言動に既に自己愛や自分の主義についての矛盾がちらついてくるため、主人公に共感が持てない人が多いと思われます。
色々と中途半端なエピソードが混ざり合って消えていきますが、話が展開しても、何故京が紅子に惹かれるのかが、少なくとも私には全く理解できません。
「性」の表現も実に中途半端ですね。
ポルノとしては表現が甘くてインパクトに欠け、恋愛物としてはくだらない。京が実に自己本位なセックスばかりをしており、作者の価値観が反映されているのかと勘ぐってしまうほど真の愛からはかけ離れています。
松本との不倫関係も不謹慎すぎます。せめて松本は独身という設定にしていれば、この小説はここまで不愉快なものにならなかったかも知れません。松本の家族が全く透けて見えない事実も、この作家の力量を示しているのではないでしょうか。
朝から妙に臨場感あふれてました… ![]()
連載時、毎朝読んでいました。設定や内容が、殆どの一般庶民には無縁なのに、妙に臨場感あふれてるのが、不思議でした。まるで上海の雑多な風景や音が見聞こえてくる感があって、さすが高樹先生!です。新聞連載時の挿絵が、内容のエロスとは関係なさげなのに、妙にしっくりしてたので単行本にはないのが残念ですね。51歳という主人公女性の年齢がまた生々しくて、面白いです。
上海の質感が伝わる一冊 ![]()
甘苦上海〈1〉夏から秋へ
主人公の紅子は51歳。日本で妹の清子とともにエステサロンを開き成功する。野心家の姉紅子は国内の店を清子に任し、単身中国、上海に「Ladies SPA 紅」を開店し成功、高級アパート、運転手付きBMWと上海のセレブ、日本では勝ち組としてなに不自由なく見えたが、唯一恋に餓えていた。そこに現れた上海書生の石井京。彼への12万元の融資を彼の体と引き換えに了承する。
その後紅子は京の優柔不断さに振り回されることになるが、あるとき運転手の趙がきっかけで商社支店長の松本と知り合う。当初二人には何もなかったのだが、ひょんなことがきっかけで知り合った春火の一言で松本と関係ができる。
松本との関係を持った紅子はそれまで引きずられていた京との関係を紅子の思うとおりにすることに成功する。そんなおり松本から、後輩が過去に新聞記者時代の石井京がかかわった事件のことを聞くことになる。
紅子は引っかかっていた猫の名前「コン」の意味がこの京のかかわった事件にあるのではと思い彼の家を久々に訪ねる。彼の口から彼の過去を聞きたいと詰問する。
しかしそんなこと聞いてどうなるものでもない。結局すべてはわからずじまい。
思いがけず京との関係に変化をもたらすきっかけとなった春火からの無言電話がある。そして写メールも。なにか彼女の身にあったのだろうか?
数日後また春火の携帯から無言電話がかかる。むなさらぎがする紅子は京に電話をする。春火とのいきさつを説明し、その写メールを京に見せると、彼のいがいな一言「春火はチベット人か」。どうやら彼女の写真のバックに写っている本はチベット密教の「龍猛論」という本らしい。
京は急に記者魂に目覚めたのか、春火とチベットの件を調べ始める。数日が経ち京から久しぶりの電話が入る。「いろいろわかりました。紅子さんもここにきませんか?」
さあ御期待…。
毎朝、読むのを楽しみにしてます ![]()
女流作家の小説をまともに読むのは、初めてだ。
だから、僕にとって、この小説は、キワメテ、新鮮だ。
女性特有のものか、描写がとても丁寧に書かれている。
特に、
性行為の描写が素晴らしい。
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大人の「純愛」小説 ![]()
女性の情念を見事に表現している作品で、大人のある意味「純愛」小説と言えるかも知れません。
物語の中で「「恋愛」とはなにか?」を二人が議論する場面が出てきますが、最後に登場する娘眉の結婚生活と対比すると作者の考えている答が見えるような気がします。
物語の舞台になっているのは鶴来(剣)という北陸の町で、終盤に出てくる富来(研ぎ)の町と合わせて、刀鍛冶の500年の歴史と主人公たちの2年2ヶ月の恋物語が重ねあわされているように思います。小道具として登場する刀子に象徴されるように、二人が「愛」を研ぎ澄ましてゆく過程が見事に表現されていると思います。
この小説も素晴らしいのですが、映画のほうもかなりなものでした。原作に忠実なだけでなく、見事に行間を表現している素晴らしい脚本だったと思います。
相手に自分を“欠けたものの存在感”として認識させるってこと ![]()
人は性愛に何を求めるか?最初は単純に性的な欲望、次いで若かりし頃の純真や情熱を取り戻したいという欲望、そして自分の存在を相手に埋め込みたいという欲望... この性愛に対する欲望の深化は、人の持つ性(さが)そのものである。そして、この小説は、そうした人の性(さが)を克明に描いている。
もうひとつ、この小説が丹念に描いているのは、男女関係の妙である。こんなことを言えば(すれば)相手はこう思うだろうな、と思いつつ、違うこと、正反対のことを言って(やって)しまう。ところが、そうして言った(やった)ことを、相手はまた別の形に誤解して受け止めてしまう... そんな男女関係の機微を、メタレベルの小説視点で描写していて秀逸。
こうした男女の関係論をクリアに描き切るために、著者は前半では「金銭契約」、後半では「死」という道具立てを用いるのだが、これがまたうまく機能している。で、著者が男女関係の真髄、恋愛の究極として掲げるのが“欠落感”ってワード。「その人がいない状態、いなくなった状態の、どうしようもない欠落感。僕の考える恋愛には、それが在る。恋愛でないものには、それが無い」。やっぱ、自分が気持ち良くなりたいってのより、相手を気持ちよくさせたい、相手の記憶に己を刻み込みたいって欲望に性愛が至るのって、結局はそういうことなんだな、と納得できる。つまりは、相手に自分を“欠けたものの存在感”として認識させるってこと。この小説はさらに、その刻み方、埋め込み方も、正常位のように相対するのではなく包み込むように重なった形と、具体的な体位によってその一体感のイメージを提示している。
究極の恋愛小説ではあるけど、あまり恋愛を身近に感じられない者にとっては、いまひとつのめりこめないというか、主人公2人に置いてかれっぱなし、って感もある。恋愛を求めている人、恋愛の渦中にある人には文句無くお勧め!
死に至るまで生を称揚する性 ![]()
高樹のぶ子の作品は「波光きらめく果て」を以前読んだが、本作はそれ以来だ。従って、格別彼女のファンではないのだが、この作品は、映画化に関連して萩原健一を取り巻くごたごたがあって、そんなこともあって読むことにしてみた。郷と千桐の関係は「愛」なのかそうでないのか、とにかく曖昧な状態が半分以上続くが、性を通した体の交わりに精神的交歓を見るという意味において、「チャタレイ夫人の恋人」における、メローとコニーの関係によく似ている。性を失った生はもはや生きるに値しないとする郷の態度は、「性とは死におけるまで生を称揚すること」とするバタイユの思想に一脈通ずるものがある。この作品はまた、杉、鍛冶師など、能登の自然と風物に関する話を織り交ぜたひとつの紀行文のような体裁をとっており、その意味で、当初から映像化されることを念頭に話を作ったと思われるようなところがある。様々に繰り出される比喩は若干文脈との関連性が欠如して悪戯に読みにくさだけが高ずるようなところがあるが、お互いの気持ちをはっきりと言わないまま、体を重ねることにより、双方文字通り「献身」の意味を心に刻み込んで行くその生き様は、ある意味極めて日本的なのかも知れない。さすがの一作である。
こんな恋に憧れます。 ![]()
番組制作会社の男と、彼が取材に訪れた町の最後の刀工の娘。40を超えた二人が激しい愛におちていく。
とにかく、二人の恋の始まりのもどかしさが、まるで10代の不器用さにも似て、懐かしさとせつなさを感じた。
大人なのに、駆け引きなしのストレートで、大人な分だけ純粋で激しくて、憧れてしまうような愛の形だった。
作者の語り口もよく、主人公の心情がとても細やかに描写されていた。とても哀しくも心のなかに染み入るような作品だった。
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新子のアンテナはなんでも感じてしまう ![]()
“マイマイ”って、あれのこと?と思って手にしました。私の故郷でもこう言っていたので、違和感がないのですが、マイマイとはつむじのこと。どんなマイマイかというと、アンテナのような・・・とだけいっておきましょう。
昭和30年、9歳の新子の目を通して見た世界が語られていきます。美しい麦畑の風景、戦争の影をひきずった大人、こっそり見た映画、学校の先生、年中行事等々が、みずみずしい感性と言葉で描かれています。昭和30年代の空気を吸って育った私には、記憶の片鱗が重なるところも多く、面白く読みました。子供と大人の世界がくっきりと別れていた時代。しつけも世間体も、口やかましい大人がたくさんいた。地主と小作の立場なども、水面下で厳然としてあった。
そんななかで、新子とおじいちゃんの小太郎のやりとりが、心温まるものでした。二人だけの秘密のハンモックを作ったり、“千年の川”の由来や、大陸で匪賊と戦った話をしてくれたり、新子と小太郎はまったくいいコンビです。新子はおじいちゃんからはそうしたゆったりとした愛情を受け、遠い大学で先生をしている父の東介からは、「なんでも自分の目で確かめる」ことの大切さを教えられます。正義感の強さから、新子は“確かめる”こと優先で、大人に怒られるようなことも、いっぱいしでかしてしまうのですが。
高樹さん自身の「日本版『赤毛のアン』を書きたい」という思いが、のびのびと物語のなかで躍動していて、気持ちよく読むことができました。カバーのイラストの場面は、第4章にありますよ。
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壮大なスケールで描くロマン ![]()
面白かったです。上・下巻共に一気に読んでしまいました。
主人公を、妻を亡くした過去を持つ外交官と、女性ヴァイオリニストという熟年の男女にし、その2人にルーマニアからの亡命者や謎の楽譜、刻一刻と迫る革命前の東欧の状況を絡ませたことにより、突っ込みどころがいくつかあるものの、大人の恋愛を軸にしたスケールの大きな小説に仕上げています。
著者の小説は初めて読みましたが、特に性愛の描写は凄いですね。女性の立場から言わせてもらえば、些細な気持ちの揺れだとか相手に対する切ない想いとか、すごく良く分かるのですが、男性側から見た場合はどうなんだろう。
それにしても、主人公のマガキ氏は外交官のわりに隙が多すぎやしませんか?人間的にはとても魅力的で、女だったら誰だって惚れてしまいそうなキャラなのですが。
しかし、あのラストはちょっといただけません・・(減点1)
これは安心して読める ![]()
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こんなに朝を待ってた本はなかった ![]()
この本は数年前朝日新聞に連載された高樹さんの本です。朝5時に新聞が来ると
すぐに飛び起き、まずここから読みました。約1年。
主人公のヒロインと相手の男性が魅力的だったこともあります。
しかしもともとのルーマニア、東側西側の崩壊、その他の情勢の後の
歴史的な史実も丹念に書かれてるばかりか、なんといっても「楽譜の
なぞ」これは音楽をやってる私には決定的に魅せられる原因でした。
なぞを解くためピアノを弾いたり、いろいろやりましたっけ。
楽譜に隠された暗号も、そしてヒロイン充子と真賀木さん(相手役)の
魅力。脇役ながらひじょうに魅力的でかわいらしい少女、ビエナの純粋さ、解ってながら辛かったヒーローの死。最期の結末も・・・
これがバイオリニスト天馬敦子さんの話から創作されたものと知り
実際哀愁のバラーダのCDを買ったり。はまってしまった本です。
ぜひ一読してください。
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男女間の友情は綱渡りな部分があるのは否めないが、確かに成立するものだと私は思う。
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壮大なスケールの傑作 ![]()
これは歴史小説であり、音楽小説であり、ミステリーでもあり、官能小説でもある。なんと贅沢な作品だろう。
舞台はルーマニア革命最中のウィーン。情熱的なバイオリニスト充子は、外交官真賀木を愛しながらも、ルーマニアからの亡命者センデスと性的関係を持つ。その性描写は圧巻としか言いようがない。男女の性愛を描いて高樹のぶ子の右に出るものはいないと以前から思っていたが、それを再確認させられた。
上巻では、百年前の作曲家ポルンベスクが残した楽譜の謎解きが重心となっている。真賀木の手によって謎は解かれ、真賀木と充子は歴史的動乱の渦に巻き込まれてゆく。
下巻の初めには、ポルンベスク村を訪れる著者の旅行記の挿入という、面白い試みがなされている。高樹のぶ子の様々な挑戦が感じられるとても大がかりな作品だ。
この小説を読んだ方は、作品のモデルとなった天満敦子さんの望郷のバラードも是非聞いてください。深みが増します。
神秘の国ルーマニア ![]()
ルーマニアと聞いて思い浮かべるもの、体操、ドラキュラあとは何だろう...私にとって殆どなじみのない国である。
この小説を読んで、ルーマニアでの歴史の翳部(ナチスにまさるともおとらないユダヤ人虐殺)や独裁政権の圧政など様々な面を知る事ができた。
外交官である主人公はある日ウィーンで幼い頃、会った事のあるバイオリニストと偶然再会し、運命の糸にたぐりよせられるように、二人は急速にその距離を縮めていく。
そこにルーマニアから亡命してきた青年が携えた楽譜を手に入れた事から、その楽譜に隠されたメッセージを紐解くことになる。
ルーマニアの作曲家作のメロディを聞いたバイオリニスト(女性)は興奮を高めていき、肉体は激しく欲情する。高樹さんの描く官能シーンはとてもエロチックなのだが綺麗で素敵である。
どんな音楽なのかとっても興味がある。
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