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エンターテイメント性を読み解いてこそ ![]()
「人間失格」のような作品ですらも、エンターテイメント性を失わないところにこそ、太宰の凄さがあり、同時に彼がどれほど病んでいるかを示しているように思います。
ギュッと詰まった太宰の世界です ![]()
39歳で逝った天才作家の作品を11作品も納めた贅沢な文庫です。使える時間と気分に合わせて順不同で読むのがお勧めです。
「満願」「葉桜と魔笛」は女性の心理を見事に描いた短編。「トカトントン」「ヴィヨンの妻」はユーモアが溢れ、「人間失格」「斜陽」は、太宰の自己表現の代表作として、重く、読み応えがあります。
左ページの左端の注釈はとても分かりやすく、思考を中断せずに読み進めることができます。また、巻末の「太宰治伝」や「作品解説」、年譜は、太宰をより深く知る手掛かりとなります。今年は、太宰生誕100年で、作品の映画化も複数あるとか。かつて読んだ太宰作品を読み直したり、未読の作品を数多く読んだりしてみたくなりました。
お子様の読書にいかがですか ![]()
夏休み前に買い、さり気なくリビングにおいて置いたら、こどもが読んでいました。
こんなことを書くとトシがばれそうですが・・・小学生時代の国語の教科書には太宰はひっぱりだこでした。理由は明確。彼の作品は、低学年にも、(無論成人にも・・・)読みやすいんですよ。うがった言い方をすれば、アタマが悪いヒトでも、漢字や熟語、嫌味な文学表現(!)をたいして知らなくても(笑)読めるし、書評できるんですね。この時代にエンターテイメントの本質を体現していたんだから、たいしたもんですねー。
もちろんいいオトナが、今読んでもおもしろいですよ!
DVD、ゲーム、PC、テレビ漬けのあなた!(もしくはお子様)
秋の夜長に、お気に入りの珈琲でも淹れて、”読書を堪能したゾ!”っていう充実感を思い出すのには最適の一冊ですよ。(かなりオトクなパッケージになってます)
私の好きな作品は・・・ ![]()
"人間失格" と "走れメロス" が好きな作品です。
最後は、人間でなくなった話とハッピーエンドで
終わった話ですが、しかし、似ている。
全然逆の終わり方のように思いますが、似ている。
すべての作品にいえることですが、人間の本性を
現しているような作品だからです。
そしてこの作品はすべての人間に当てはまるので
はないかと思うのです。
うまく説明できませんが、周りの人間の反応を見
ながら自分もそれに合わせるような経験がそれに
当てはまるのではないでしょうか。
本の最後を見るとかなりの作品を残していること
に気がつきます。
本書はごく一部の作品だと言うことになります。
ほかの作品も気になるところです。
作者本人が登場する作品の多いこと多いこと。
羅生門 蜘蛛の糸 杜子春 外十八篇 (文春文庫―現代日本文学館) |
こころ 坊っちゃん (文春文庫―現代日本文学館) |
晩年 (新潮文庫) |
グッド・バイ (新潮文庫) |
雪国 (新潮文庫 (か-1-1)) |
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妻のけなげさ ![]()
「ヴィヨンの妻」に登場していた妻は本当にけなげだ。夫は酒をたくさん飲み、浮気をし、おまけに借金まで作っている。それでも妻は仕方がないと健気に生きている。この作品の読みどころは夫が雑誌で批判されていて、夫がそれをうまく弁解した後に言った一言だと思う。こんなだらしのない夫にこのような言葉を言える妻はそういないと思う。
太宰生誕100年 ![]()
太宰自身を投影させた様な短編集。晩年の自殺行動を髣髴とさせる作品に共感できる部分は少ないですが、自己中で酒を飲んで借金をしてドロボーまでして浮気を繰り返しても明るくしなやかについていく妻。そんな、奥さんに少し憧れをいだいた今日この頃です。
表題の「ヴィヨンの妻」について ![]()
自己犠牲やサービスを強いる博愛精神と本能的エゴイズムの狭間で、男は、時に自嘲し時に自責する。「男には、不幸だけがあるんです」。なんとなれば、論理的にいえばどちらかを諦めなければならないこと更に言えばそんな思考自体が空虚であることも知っているのだ。
女にとっては、博愛もエゴも自分の生活を豊かにするための手段に過ぎない。"だって、矛盾していたところで生活になんの支障も来さないじゃない?"。だから「女には、幸福も不幸も無いものです」。
そんなアフォリズムが家庭に内在していることを考えてしまう弱い男と、そんなことは考えも及ばないが力強く生きる女の対称的な夫婦生活を描く、自虐的私小説。
「暗さ」ばかりではない太宰作品 ![]()
この本は、「親友交歓」「トカトントン」「父」「母」「ヴィヨンの妻」「おさん」「家庭の幸福」「桜桃」と、終戦後に書かれた8編の短編から成っています。
従って、死の直前の3年間の作品群と言うことで、彼の死が予感される作品が多くなっています。
ただ、それだけではなく、非常にユーモアに富んだ作品も多く含まれています。
表題作の「ヴィヨンの妻」は、その素晴らしい表現力によって、夫妻の微妙な心情の動きが見事に表現されています。
どうしようもないところまで精神的に追い詰められている夫の弱さと、どうしようもない家庭状況にも平然と立ち向か妻の強さが、非常に対照的に描かれています。
妻の突飛な思いつきによる生活の変化が、この夫婦の生活を一変させてくれればいいなあと思います。
そう思わせるのが太宰の作品なのでしょう。
「家庭の幸福」は、官僚について書かれた作品ですが、実に皮肉でユーモアに富んだ作品になっています。
先日の衆院選で民主党が官僚支配の打破を訴えていましたが、太宰はすでに作品で官僚批判をしています。
太宰作品については、「暗い」と言うイメージが強かったのですが、今回この短編集を読んでみて、そればかりではないと言うことを実感しました。
グッド・バイ (新潮文庫) |
パンドラの匣 (新潮文庫) |
きりぎりす (新潮文庫) |
斜陽 (新潮文庫) |
惜別 (新潮文庫) |
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リビングに蛍光灯 ![]()
〜何でもない所に陰翳を生ぜしめて、美を創造する「日本人」、はいつから変わってしまった
のだろうか。いつから部屋を煌々と照らし出す癖が身についのだろう。しばらく本書を読み
進めると〜欧州の都市に比べると東京や大阪の夜は格段に明るい〜と記されているが、陰翳
を尊ぶ「日本人」が何故現在(昭和8年)変わってしまったかの考察は全くない。ただ昔の作者の
記憶の中にある暗闇を懐かしがっているだけである。 昨今やっと日本も間接照明という
輸入観念で陰翳が復活?したようだが、ちょっと前まではリビングを青白い蛍光灯で煌々と照らす
という暴挙がまかり通っていた。欧米の居室の陰翳、光の使い方こそ谷崎が求めていたもの
ではなかろうか?
〜暗がりの中に美を求める傾向が、東洋人にのみ強いのは何故であろうか〜と書いているが
本当に日本人、東洋人だけが暗闇を尊んでいたのだろうか。そんなに尊んでいたのならそんな
にあっさりとその美を捨て去ることができるだろうか。蝋燭の灯りだけで撮った映画「バリー・リンドン」
を谷崎は勿論知らない。
今こそ読まれるべき本 ![]()
日本の夜は明るすぎる、と谷崎潤一郎が『陰翳礼賛』で嘆いたのは昭和8年のことだ。現代と比べたらさぞ暗かったろうと思われる時代である。
谷崎は単に明るすぎるのを嫌ったわけではない。ロウソクなどの柔らかな灯と、それがつくる陰が日本の文化であり、その文化が消えていく(あるいは変質する)のを憂えたのだ。
もっと言うならば、谷崎は灯火を暗喩に用いて、西洋文明を無条件に導入してきた日本人のあり方を疑問視しているのである。
「谷崎は実際には明るい家をつくった」などと的外れなことを述べて得意がっている輩がいるが、自分の知性の低さを公表しているようなものだ。
デザイン関係者必読 ![]()
谷崎潤一郎による戦前の名エッセイ。
日本人の根底にある美意識を、当時急速に日本に浸透しつつあった西洋文化と比較する
ことで見事にあぶりだしています。
デザイン関連の何冊かの本で、陰翳礼讃のことが絶賛されていたので読みました。
最近読んだ本では「デザインの深読み(坂井直樹)」と「商いデザイン(永井資久)」、
これら以外にも昔読んだデザイン関連本の中にも陰翳礼讃のことが書かれていた記憶が
あります。
「デザインの深読み(坂井直樹)」によれば、陰翳礼讃は今や世界のプロダクトデザイナー
の愛読書になっているのに、日本のデザイナーでこの本を読んでいるのは年配者ばかりで
将来がやや不安だ、とのこと。
全く同感です。
70年以上も前に書かれたこの本がいまだに読まれ続けている、しかも世界中で。
この一点を持ってして、この本の秀逸さがわかっていただけると思います。
しかも読んでいて単純に面白く、とても読みやすいというのも素晴らしい。
それも、長く読まれ続けている理由の一つだとと思います。
日本の文化・美意識の素晴らしさを改めて教えてくれたこの本に、感謝です。
日本人として ![]()
高校の頃、国語の教科書に掲載されており、それを見てすぐに書店に走った覚えがあります。が、あろうことか無くしてしまった為、再度購入。この作品はもう何回も拝読していますが、その度に日本の美の奥深さを感じます。日本人ならば一度は読む価値のある一冊だと思っています。
春琴抄 (新潮文庫) |
新・陰翳礼讃 |
細雪 (中公文庫) |
「いき」の構造 他二篇 (岩波文庫) |
痴人の愛 (新潮文庫) |
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買いやすかった ![]()
小畑さんが描かれたの表紙のオカゲで、なかなか普段は気になっても手を出さなかった「人間失格」を購入しました。
正直今までのような文字だけだとか、誰か分からない人の写真だとか、太宰さん自身でも古く感じて、手に取った覚えもありませんでした。
良いキッカケとなり、タイトルと一部の文章を知り何となく内容を知り…曖昧なモノが剥がれ、それ以上に作品がズシンと響きました。
表紙には賛否両論ではあると思いますが、なかなか手を出さない年齢層や人々に取っては嬉しいかと思います。
廃れて行くよりも、興味も持って触れる事が大切だと思います。
まぁ、仕方ない ![]()
表紙が今時の漫画家に頼むのは仕方ないことだろう
基本的に若者はそうでもしないと小説読まないし
まぁ、表紙的にですノートにしか見えないのは難点ですが
まぁ、地獄変よりはマシですよ
自社への皮肉もあるのだろうか ![]()
名作【人間失格】にDEATH NOTEの小畑を表紙に起用した。
これは「こういう商売やってる自分達は人間失格。ひいては製本に関わった人間は皆人間失格なのだ」と言ってるような気がしてならない。
ひねくれた考えだが、私にはそう捉えられた。
価値ある一冊 ![]()
恥の多い生涯を送ってきました。
で始まり、
神様みたいないい子でした。
で終わる「人間失格」というこの作品。
繊細な主人公の人生。
酒と薬でぼろぼろになった目にはどんな風景がうつっていたのだろうと思います。
生きることに真面目なあまり、生きようとして耐え切れず、酒を飲み薬をうってしまう。
色々な女のヒモのような生活を送りながらも、人の幸福を壊すことをおそれる主人公は、ふと目にした詩にさえ、動揺したり、共感したりします。
神に問う。信頼は罪なりや。
神に問う。無垢の信頼心は罪なりや。
神に問う。無抵抗は罪なりや。
苦しみ、もがいて、そして最後に主人公に言わせる言葉。
「ただいっさいは過ぎてゆきます」
太宰治という人の目にうつる風景はどんなものだったのだろう。
繊細な彼に触れられる、傑作だと思いました。
こころ (集英社文庫) |
地獄変 (集英社文庫) |
斜陽 (集英社文庫) |
走れメロス・おしゃれ童子 (集英社文庫) |
伊豆の踊子 (集英社文庫) |
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習うより慣れろ、ですね ![]()
皆さんのレビューを参考にして、購入しました。
本書の中身を実際に見て、皆さんのコメントが
恐らく各自のレベルに応じた感想になっていて、
どのコメントも間違っていないと思いました。
本書は「習うより慣れろ」で、カギとなる
フレーズを繰り返して読み・聞いて、同様の
フレーズに出会った時に、意識して考えずとも、
反射的に理解する感覚を養うのに適していると
思います。
その他内容については他の方々のコメントで言い
尽くされていますが、敢えて付け加えるとすれば、
付属のCDは、本文の例文が順番に米語発音、
英語発音で交互に、つまり最初の例文が米語発音で、
次の例文が英語発音で、というように収録されて
いますが、欲をいえば、一つの例文について
米語と英語の両方の発音で収録してあれば、
正に言うことなし!なのですが。
なお、表紙のデザインを気にされている方が
いらっしゃいますが、本書の表紙のデザインが、
昔のアルク刊「起きてから寝るまで表現550」
(本&カセットテープ)に似ていたので、
最初私はてっきり本書もアルクの本かと思いました。
本の装丁デザインを同じ方がされたのでは
ないでしょうか。蛇足ながら、現行の「起きて〜」
(本&CD)の表紙は全く違うものになっているようです。
それにしても、カセットテープ版だなんて、
私の年代がバレちゃいそうですね。
いいですね ![]()
はじめに本を見ないでCDを聞いていたら何て言っているのか聞き取れない例文が
多数ありました。本を開けてみると平易な表現が多く、自分のヒアリング力のなさ
を痛感しました。TOEICの点数が頭打ちになって3年、いろいろな教材を試してみた
のですが、良書のひとつです。
・例文の説明がほとんどついていない
・質問文の回答例があったらよかった
等つかいはじめて不満に思うことはありました。しかし、これらは余計なものと
して本書から削除されているようです。反復練習用の教材です。
TOEIC の効率的学習に最適! ![]()
2005/09/09 から再版を重ねること第五刷,売れている理由はそれなりにあると思います.本書籍で勉強して TOEIC で何点取れるかはこれから試してみたいと思いますが,CDを合わせた効率的な学習ができる点は評価できます.単に練習問題を解くパターンの勉強方法にこの書籍を用いた勉強方法を加えると,学習の質は上がると思います.まずはこの書籍に取り上げられたキーフレーズを一通り覚えれば(ヒアリングも含めて),600点以上は採れるのではないでしょうか?
覚えるまで何百回も繰り返して630→880に! ![]()
TOEIC630点の時この本購入して
例文500個を覚えるまで
ひたすら何百回も黙読・音読・聞取・書取しました。
(それプラスTOEICの問題演習を2000問ほどやりました)
その結果約1年間で880点にまでなりました。
この本はTOEIC対策のエッセンスが凝縮されてますので
覚えるくらいまでやるとものすごく力がつきます!
あれこれやるよりこれ1冊ひたすらやることをお薦めします。
新TOEIC(R)テスト出まくり英文法(CD付) |
TOEICテストPart7を1問1分で解けるようになる本―制限時間内に長文リーディングを最後まで |
新TOEIC TEST ウルトラ語彙力主義 [CD付] |
TOEIC(R)テスト リーディングBOX |
TOEIC(R)テスト リスニングBOX |
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国内配送無料 おすすめ度: もっと詳しい情報: 太陽を曳く馬〈上〉 太陽を曳く馬〈上〉 @Amazon 太陽を曳く馬〈上〉 @aStore 太陽を曳く馬〈上〉 @Rakuten |
理解しがたい対象への接近 ![]()
一般的な人間には理解しがたい対象、即ち現代芸術(抽象画)・動機不明の殺人・宗教に対して、どのように向き合うのかというテーマが真ん中に据えられています。これらの対象に合田雄一郎の眼を通じて深く、そう、沈み込むほどに深く入り込んでいくのですが、上巻の主要人物・福澤秋道の芸術と殺人、下巻の末永青年の死を契機に言葉が尽くされる宗教論(特に、オウムと古代インド宗教、禅宗との対比と本質論)に、入り込むというよりは埋め尽くされてしまう感覚が体を離れません。合田雄一郎も40を過ぎ、過去の作品に見られた表出する情熱は影を潜め、警察官という仕事や離婚した相手とその兄に対する考え方に変化が見られ、ただでさえ孤独であった彼が、殺人を犯した秋道に対しての父・福澤彰閑の何通にもわたる手紙を読む、あるいは執拗とさえ思えるほど宗教に対しての、いわば一見しても、あるいはそれ以上によく見ても理解しがたいものに対して「なぜ」という問いを繰り返しながら近づいていく姿は、決して華やかでもなく、恵まれたというわけでもない、要するに一般的な意味で言う幸せではない彼自身の人生に対する「なぜ」という思いと重なって、腹の底からの共感を感じました。彼は求めれば求めるほど、問い続ければ問い続けるほど孤独の影を濃くしていくようです。しかし、秋道に宛てた彰閑の最後の手紙には、息子に寄せる父の思いが感じ取られ、その思いに合田雄一郎も思いを寄せる様子が想像出来て救われます。この小説は、上下巻を通して、「分かる」とか「意味が通じる」といったいわば幸福な関係が断たれたものに対する接近を描いたものであり、一般的な「意味」からの自由を求めた者たちに対するレクイエムでもあると思います。日本では珍しい形而上学小説であるのと同時に、理解しがたいものが本当に我々の間近で頻発する現代への高村薫自身の向き合い方を表明した作品です。そして、立ち尽くしては内省し、問い続けては立ちすくみながら、今までとは違う何かを手にしたであろう合田雄一郎がこれから何処へ行くのか、次回作が待ち遠しくなる、本当に素晴らしい作品です。
時と共に歩む ![]()
アマゾンで日本から三千円以上分の送料(円でなくユーロ)をかけて
上下巻をドイツに取り寄せ、先程きっちり上巻を読了。
高村さんと合田刑事は、世紀末と9.11をどう乗り越えたのか
への当人方からの応答なり。
「現代の若者」への高村さんの戸惑いが合田刑事を介して
描かれていて、それにしても愛は理解を超えるのでした。
高村さんは勿論合田刑事を愛しながら創っているし、
変わり行く時代も、同じように捉えようとしているように見えました。
大体、日本から遠く離れても、これを読める事、更に高村さんと
同時代に生きている日本人だから、隅々まで読解出来る事、
これらがわたしの人生の幸せでなくして何であろうということを実感してますよ。
今回ドイツは二度目に来ていますが、一度目は、9.11寸前で、
その直前の世紀末には日本に居ましたし、状況を理解しながら
躍動感と共に読めました。
合田シリーズは、『マークスの山』で躍り出て、「昭和51年秋」に
事件の幕を切って落としているわけだけれど、合田刑事と別れた元妻が、
今回ちょうどあの崩壊したビルに居る設定に出来た辺り、
合田シリーズは、世の流れも味方にしている強運振りです。
ロスコの「空」には、まだ「色」がある ![]()
・・・これは読む「修行」かもしれない。
NHK教育テレビで、マーク・ロスコの抽象的絵画とともに紹介された本書を、うっかり読み始めてしまった。上巻では芸術論が語られる。猟奇的殺人事件が起きた部屋で引かれた直線や色が、衰えかけた私の右脳を刺激する。何を意味するのか? いくつもの線のように証言が重なりつつ犯人の真意が浮かび上がろうとするが、描けない私はバーミリオン色の血の池地獄で溺れていく。
そして下巻、都会のビルの中の寺、修行僧の不可解な事故死。延々と語られる宗教的な解釈、禅とヨガあるいはオウムの教義がどこがどうだったのかと。膨大な言葉を尽してそそりたつ壁は、まるでロスコのキャンバスそのもの。不本意ながらも私は、議論の中へ取り込まれることになる。混沌の私の左脳は、天上界のような論理の中で、下から上から表から裏から過去から現在から、”半眼”で時空を超えて、しかし、トボトボと彷徨う。
本を閉じた私に、ロスコの絵・・・これはもしやマンダラ?
高村さん! ロスコの絵のような小説を書きたいとTVで言っていたあなたの試みはみごと成功したと思います。でも私は「座禅」よりも「行脚」が好き。言葉よりも感覚、感覚より実感の方が快い。突き抜けて良寛さんのようになった合田刑事に会ってみたいと思います。
あれの1割も売れないだろうけど ![]()
4年ぶりの長編、上下巻、新潮社、オウム事件、宗教、芸術、そして社会問題にひるまず発言する作者、
という共通項を持つ「1Q84」が大ヒットを飛ばす中で刊行された新作ですが、二つの作品を続けて読み終えて、もともとある両者の違い以上に大きく異なる印象を持ちました。
いつまでも若者の立場にあろうとするものと、生きて老いることを引き受けたもの、という。
12年ぶりの合田雄一郎は世渡りを意識し、若い部下に舌打ちし、一言でいえば「おっさん」化して、笑いを誘います。
笑っていいんだよね?と戸惑い、文章そのものも昔よりはるかに読みやすくなっているため、自分は今までずいぶん誤解していたのかもと思ったりしました。
でも、合田の本質は変わっていませんでしたが。
特質や欠点や未熟さを抱えたまま、人は老い、同じ位置に立っていても周りの変化によって立場が変わってくる。
かっこ悪くなった合田には今までにない共感を覚えました。
しかし、そんな合田の姿をかき消すほど強い印象を残したのは、下巻の最後の最後。
福澤彰之が獄中の息子秋道にあてた数通の手紙と、その中に登場する西瓜をぶら下げた老人の姿でした。
どれほど知識を学び、修行しても、あるいは痴呆になっても、なお消えることのない子供への思い。
その切なさと温かさは、老いて見苦しく生きる現実を引き受けたものにだけ伝わります。
その前には、それまで芸術や宗教をめぐって膨大に語られた言葉すべてが薄っぺらく消えていきます。
その爽快さと感動を味わうためにも、延々続く芸術論とその数倍の量がある宗教論、流し読みでいいですから飛ばさずに、と言いたいですね。
一応星は4つ付けましたが、古くからの読者なら星5つの価値があろうかと思います。
太陽を曳く馬〈下〉 |
新リア王 下 |
新リア王 上 |
晴子情歌 下 |
晴子情歌 上 |
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高村薫の三部作の感動的な完結編 ![]()
20世紀を貫いて21世紀に至る壮大な三部作サーガついに完結。本作も、現代美術、死刑、宗教に挑む高村薫の執念と信念が結実した傑作。
圧巻は「オウム真理教を宗教と認め得るか?」という討論。「あんな太ったグルはおりません」という言葉は痛快だが、そこに至るまでの、道元、マックス・ウェーバー、インド哲学を駆使した法論にはただただ感服の一言。「1Q84」に於いて同じオウム真理教を扱った村上春樹が「物語の力」を信じているのであれば、高村薫女史は「問い続ける近代的批判精神」を信じているのだろう。直観が必要な現代美術や神秘体験の抽象化が必要な宗教的世界の存在を認めた上で敢えて人は問い続けていかなければならないのだという覚悟の重さがそのまま本作の重厚さなのだと思う。
そして最終章、彰之の手紙は「晴子情歌」冒頭へと回帰する。少女の晴子が見た七里長濱の情景。境界も定まらぬ空と海と砂嵐の入り混じった白明の中、砂丘を渡る清々とした風の音、そして行きずりの雲水たちが唱えてくれた四弘誓願の声と持鈴の音が聞こえてくるような感動的な完結である。
決して読み易い小説ではないが、合田雄一郎も帰ってきたし、「新リア王」で離れてしまった高村ファンにも読んでいただきたい。
太陽を曳く馬〈上〉 |
新リア王 下 |
新リア王 上 |
晴子情歌 下 |
晴子情歌 上 |
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かず子の妖しい魅力 ![]()
全編に漂う、主人公、かず子の妖しい魅力。
好きな男に飼われる為なら相手の返答が無くても
何度でも手紙を送りつけ、自身の不気味な人生観を
語り上げるかず子の異様な性格は、ミザリーに匹敵しますw
比較的短い物語の上、後半尻すぼみに
なって行き描写が足りない部分が有りますが、
それをおぎなう物を感じさせるのは、元ネタとして
自分の浮気相手の女の日記をパクったと言う
下地ゆえでしょうか。
ナンパなペテン師太宰治の最高の作品です(笑)
素晴らしい,が。 ![]()
兄の本棚から拝借して読み始めました。
「私が早熟を装って見せたら、人々は私を、早熟だと噂した。私がなまけものの振りをして見せたら、人々は私を、なまけものだと噂した。私が嘘つきの振りをしたら、人々は私を、嘘つきだと噂した。私が金持ちの振りをしたら、人々は私を、金持ちだと噂した。私が冷淡を装って見せたら、人々は私を、冷淡なやつだと噂した。けれども私が本当に苦しくて、思わず呻いた時、人々は私を、苦しい振りを装っていると噂した。
どうも、くいちがう。 」
この部分は忘れられなくて何度も読み返しました。
その時期,神経過敏症になっていたこともあり、自殺願望が常にありました。
この小説が自殺願望を促進させたのか、減退させたのかは分かりませんが,今も私は生きています。
闇のない所に光はないように,こういう闇を知っておくのも将来に役立つと思います。
ただ、何度も読み返したいと思えるものではありません。毒にも薬にもなりそうな1冊。
滅びゆくその美しさ ![]()
姉と弟が実の母親を最後の貴婦人と称する食事のシーンから引き込まれること間違いなし。没落貴族が財産を食い潰しながら生き方を見出せないそれぞれの葛藤が丁寧に描き出される。蛇をはじめ次の展開を暗示する仕掛けが無理なく散りばめられており感心すること然り。全体の構成も素晴らしいし、なにより文章自体もよく練られていて、ワープロでは出せない味が手書きにはあるんじゃないかと感じる。
太宰治という名前は知っていてもその作品を読んだことがない人には是非お薦めしたい。名のある小説家のハッタリではないプロの凄みを味わえるはず。
滅びの美学を見失った時代に ![]()
平成二十一年に「斜陽」を再読する意味を考えながら頁を繰った。
昭和二十二年に発表された「斜陽」は美しい滅びの話である。主要登場人物四名中、主人公の「かず子」以外の三名は自分が滅びゆく運命であることを自覚し 覚悟した上で死に向かう。その「覚悟」の気高さが甘美さを醸し出す。過度の甘さがあるとしたら それは太宰自身が志向し 嗜好した「滅びへの憧れ」の為だ。
振り返って現在はどうか。
戦後の日本が生んだ「一億総中流」という時代が終わりつつある現在だ。気が付くと格差と貧困問題が日本を覆う。「一億総中流」という幻想が終末を迎えている。しかし その現在に「斜陽」のような「甘美さ」はない。
何かが滅びつつあるのかもしれないが 僕らがそれに気がつけていない。気づけぬ滅びを「自覚」し「覚悟」することは不可能だ。従い「滅びの美学」すら生まれていない。
それほど迄に 僕らは自らを見失っているのではないだろうか。
それが読後感だった。
人間失格 (新潮文庫 (た-2-5)) |
グッド・バイ (新潮文庫) |
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晩年 (新潮文庫) |
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この主人公は自分だ、と思う人とそうでない人に、日本人は二分される ![]()
と、新潮文庫の本紹介のところに書いてありまして、
よし、じゃぁ自分はどっちだ。なんて思って読んでみました。
結局私は、この主人公は自分だとは思えませんでした。
自分はちゃらんぽらんな明るい人間なので。
でも、あの有名な鉄棒のシーンは、ドキッとさせられましたね。
あの時の主人公の心情変化の描写、表現は見事だと云わざるを得ません。
私みたいに、主人公にあまり共感できなくても、この本は読んだ方がいい気がします。
さすが、文豪として有名な方が書いた作品だけあって、完成度が高いというか、
短い本なんですけど、すごく凝縮されていて重みがありますね。
太宰さんの人生で、いかに多くのことを抱えて生きてきたか。的なことが、少なからず見えてくると思います。
残念ながら ![]()
主人公は人間恐怖といいながら、さまざまな女と付き合い一緒に暮らします。
入水もモルヒネ中毒も、なぜそこまで至らなければならなかったかという過程が弱いです。
どの言葉も金持ち秀才のボンボンの戯言のようで「ふざけるな」と言いたくもなります。
とても有名な本なので、できれば主人公と一緒に「人間失格」を味わいたいと思ったのですがその想いはかないませんでした。
ナルシスト、女々しい、のんだくれ ![]()
そんなしょうもない人生で日本文学界の頂点に。
こんな男、他に居ます?
ぼくは死ぬということがどういうことかわかるよ ![]()
…こう言ったのはピーター・フォンダ。彼の映画は例外なく好きだ。
「人間失格」は太宰が20代だったころに書いていてもおかしくない作品。なぜなら出来が悪いから。いい意味で(誤植ではない。マジで「いい意味で出来が悪い」のだ)。
出来は「斜陽」「ヴィヨンの妻」「彼は昔の彼ならず」「女神」「家庭の幸福」「お伽草紙」なんかに代表される「おもろい太宰さんのお話」のほうがいいに極まっている。誰が読んでも。
「晩年の彼はいかんよ」…坂口安吾。あたりまえ。彼は20代のうちに死にたかったに違いない。死に切れず嫁を道連れにして死ぬしかなかった…なさけない男。そんな輩の書いた本はつまらないにきまっている。
話を「人間失格」に戻す。これまで彼が「道化の華」なんかで繰り返し書いていたテーマの10番煎じくらい。いい意味で(誤植ではない。マジで「いい意味で10番煎じ」なのだ)。ただそれだけ。
猪瀬直樹とかいう馬鹿野郎が「彼は『〜失格』では彼自身を肯定している」とかアホなことを書いていたが…ざけんな。彼は太宰が津島修司であることに、そして「なさけない輩」であることに誰よりも我慢がならなかったのだ。そしてかっこわるく自殺した。
この「壮大な失敗作にして戦後最大の作品」を読んだ海外のとある音楽家は「大葉くんはオレだ!」と叫んだという。ピーター・フォンダやデニス・ホッパーが読んでもそう感じたかも。あんたは「イージー・ライダー」を観たか。二人ともかっこ悪く死んでしまう役だった。
太宰はいつも等身大の自分を描いていた。それにすら気づかない馬鹿が書いた「作品かいせつ」は破り捨てること。
斜陽 (新潮文庫) |
走れメロス (新潮文庫) |
こころ (新潮文庫) |
ヴィヨンの妻 (新潮文庫) |
晩年 (新潮文庫) |
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江戸時代の性文化の入門編として ![]()
江戸時代の性文化の入門編として、絵も官能的で非常に分かりやすいです。ただ、江戸の性分化の一面しか掲載されていないので、もっと知りたい人は消化不良になるかもしれない。より詳しく江戸時代の性文化を知りたい場合は、「江戸の性愛術 (新潮選書、渡辺信一郎著)」や「張形と江戸をんな (新書y、田中優子著)、「江戸春画の性愛学シリーズ (ベスト新書、福田和彦著)、「江戸の閨房術 (新潮選書、渡辺信一郎著) などを参考にするといいでしょう(「男色関係は除きました。自分の心情的な問題です)。
エッチなのだが、歴史考証がしっかりしていて読み物としても・・ ![]()
エッチですが、時代考証や解説等が入っていてバランス良い読み物となっています。女性が描いている様なので女性にも読めそうです(元来女性物?)
特に後書きの解説が原稿用紙12ページ分の長さ(4ページですが)丁寧に書いてあり、エッチだけではない好感さがあります。
(三行半の真の意味等)
ただ、張型等強烈な物も出てくるので18禁を付けた方がよいかも。(あくまで説明ですが、それ自体強烈、、)
浮世絵春画レベルのHさもあると考えて下さい。
へえー!と思う江戸の性文化 ![]()
絵もきれいで、時代物に合うタッチで見ていて妖艶でかわいくて見応え充分!
全て短編だし、お武家から商家、庶民、はたまた田舎の農民の話まであるので一本調子にならない話がいいです。
江戸の風俗や、性文化がわかりやすく学べます。
今の日本は随分西洋化されてしまったんだなぁなんてしみじみ思います。
昔の日本は性に対してマイナスのイメージではなく、割と大らかですね。
雅な言葉で表現したり、まさに「性文化」って感じですね。
続編も楽しみ!
意外と知らない江戸時代の性生活事情 ![]()
八月薫初の時代物。
しかも、シナリオ付きなので、かなり趣向の凝った仕上がりになっている。
現代的なエロスとは違う耽美な趣があって意外と興奮出来る。
第一話「和合指南」…武家の娘の性の指南書。
第二話「箱入り男」…江戸時代の自慰事情。
第三話「介添女」…初めての男女をレクチャーする女の話。
第四話「石榴口」…江戸時代の混浴文化。
第五話「不開間」…大奥事情。
第六話「水揚げ」…遊郭デビュー。
第七話「夢芝居」…江戸時代の芝居小屋事情。
第八話「夜這い」…江戸時代の夜這い事情。
読んでいて意外と知らなかった事が色々とある。
江戸は、男女比が2:1で男尊女卑どころか女性が優遇されていたとか、
欧米のように処女をありがたがる文化は、明治以降渡来した文化だったり、
夜這いは女性に拒否権があったり、地方によって色々なルールがあるようなのです。
八月薫の描く絵も妖艶で読み応えがあります。
これは、一押しです!!
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