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企業と人間―労働組合、そしてアフリカへ (岩波ブックレット)

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by 佐高 信 小倉 寛太郎 Search 佐高 信 小倉 寛太郎 佐高 信 小倉 寛太郎

企業と人間―労働組合、そしてアフリカへ (岩波ブックレット) by 佐高 信小倉 寛太郎 価格: ¥ 504
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モデルの人
 「何のための労働組合か」「伊藤淳二会長のこと」「会長室の消滅まで」「アフリカ−第二の故郷」の四部構成。約60項のごく短いもの。山崎豊子『沈まぬ太陽』の主人公、恩地元のモデルとなった小倉寛太郎氏の視点から、小説でも取り上げられた組合運動や会長室時代を振り返る。
 小倉氏と恩地元は、ほぼ同じ行動をするわけですが、思想や人物像は大きく違うように感じました。小倉氏はアフリカを気に入っているようですし、わりと好戦的みたいです。『沈まぬ太陽』を読んだ方や日本航空の企業体質に興味のある方にお薦めです。『週刊朝日』2000年2月11日号・2月18日号もお薦め。

「沈まぬ太陽」を読んだ人に
山崎豊子の「沈まぬ太陽」の主人公である恩地元のモデルである小倉寛太郎さんが、評論家の佐高信との対談である。特に、日航の元伊藤淳二会長(小説では、国見会長)に絡んでの話がおもしろい。山崎豊子の恩地像と、実際の小倉さんのイメージとが微妙に違うのが興味あるところである。


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地域の力―食・農・まちづくり (岩波新書)

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地域も捨てたものじゃない!!
 先進的な取り組みをしている全国各地を訪ね歩き、力のある地域の現状や背景について報告したルポである。先週日曜日の朝日新聞書評欄でも、デカデカと紹介されていた。
 牛が食べる草にまでこだわって乳牛を育て、牛乳を生産し、「赤ちゃんには母乳を」と書かれたトラックで本物の牛乳を配送する島根県の木次乳業。地元産の有機農産物を使って学校給食を作っている愛媛県今治市。環境を守る林業経営に成功し、ドイツにある森林管理協議会から認証をもらった高知県梼原町など、知らないケースばかりだが、なかでも感動したのが、徳島県上勝町の葉っぱビジネスだ。
 農家のじいちゃん、ばあちゃんたちが、料亭などで出されるモミジや梅の小枝など「つまもの」と呼ばれる葉っぱを生産・収穫・販売してそこそこの収入を得、病気とも無縁で、いきいきと生きているという。「人を元気にするには出番と評価」「人と人のつながりがあるから、笑顔が生まれる」といった登場人物の発言がとても心に沁みた。
 著者は自らも田んぼで米を作っている編集者の大江正章さん。人が豊かになる地域とは、人と人との関係性と自然が豊かで、生業が根づいているところだ、というまとめの一文にその通りだと納得したしだいである。

補助金では変わらない
本書の中にも書かれているが、「地域振興」で新規事業というと、役所の補助金がつきもの。私が知る、首都圏ですらこの有様なのだから、地方(特に農業)はもっとひどいのだろう。しかも、例えば商店街の新規事業は、ポイントカードとか宅配とかよそで聞いた話ばかり。農業だと、補助金もらって新しい作物や農法をやってみました、などなど。コストでもアイデアでもリスクを取ろうとしない計画は、失敗による被害を最小限に抑える代わりに、大して成功もしない。こうした補助金ありきの手堅い「新規事業」のせいで、皮肉にも新しいことを何もできない自営業者が全国に蔓延しているように思える。

「つまもの」上勝町の取り組みはよく知られているが、第一次産業を中心とした本書に出てくる自営業者はみんな、独創的な試みを役所に頼らずに挑戦した、という人たちばかり。「真に成功するには独創さに加え、他に依存しない、反対を意に介さない意志の固さが必要だ、という事実を凡百の自己啓発本なんかより、よほど本書の方が教えてくれる。

本書のテーマたる地域力だが、本書の登場人物が、市場原理と自らの理念をうまく両立させていることに感心した。市場原理だけでは商売が成り立たないが、大型店のように市場原理だけでは、地域のコミュニティが破壊される。経営者と社会活動家を両立させることによって、市場による地域からの収奪を、市場と地域の共存関係に変える。本書の事例はパラダイスのような成功例ばかりなので、モデル視ばかりはできないが、今後の市場と地域のあり方を考える上で参考になった。


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会社法入門 (岩波新書)

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突っ込んだ内容は特になし
ゼミでやっているコーポレートファイナンスとか企業買収とかで必要となる前提知識を補完するために、ということで先生が推薦していた本。

構成としては第一章でどのような経緯、社会の要請があって会社法という法律ができたのかを説明し、その後の三章で会社法の外観をなぞって、最後に会社法のこれからの展望を記して終わりという流れ。

知識そのもの(監査役設置会社とか委員会設置会社とか単純な知識)は少し勉強した人なら大体は知っているというレベルだと思う。200ページほどの本なのでそこまで突っ込んだ内容になっていない。

ただ、現行法がどうなっているかを述べるというよりは、ある問題に対して論点を整理して、その上でどのようなルールが考えられるかを考えていき、最後に現行法ではこうなってます、というパターンが多い。法学を勉強したことはないのでこういうアプローチはなるほどなぁと思う反面、分かったから結論を早く教えてくれよ、と思うこともあった。ただこれは読者が求めるものによって違うので何とも言えない。

200頁余に良くまとめてある
法学部の学生や資格試験受験生は弘文堂の神田教授のテキストを読まれたほうがいいと思います。もちろん、まだ商法・会社法の授業を受けておられない学部1年生・2年生が準備段階に読むのにはむしろ最適のレベルの新書といえます。
この本は、あくまで啓蒙的な入門書。読者対象は法学部出身者以外の社会人。神田先生はあえて細かい会社法の条文をオミットして、速く会社法の全体像をつかんでもらおうと書いておられるのでしょう。182頁以下のライブドア事件に関する記述などを読むと、会社法の細かい概説的知識を読者に与えようとしているのではなく、考えるきっかけを与えたいというのがわかられると思います。よくこれだけのものを新書の200頁に纏められたと思います。この種の新書にしては珍しく図解もところどころ入れてあります(56頁・57頁)。

公正さと透明性の重要性がわかった
会社法関連の難解な用語を分かりやすく説明してあり役に立った。会社というものは株式を通じて資本と労力を結合する仕組みであり、世間の規制緩和が進むと今後、より公正さと透明性というものが重視されてくるという内容。法律は自分にとってはとっつき難かったが自分の身の回りと関係がありより調べようという気になった。株式の仕組み、商法、会社法、証券取引法、労働基準法等勉強することは一杯ある。すべてのビジネスマンに必須の書ではないか。

よくわかんない
興味本位で、どんなもんなのか?ということで買いました。

入門って書いてあるから買ったのに、内容はある程度専門知識がないとよくわからないと思います。

ただ、知識がある人は読めると思いますが、そういう人は入門書は要らないでしょう?

どうせ買うなら弘文堂テキストにすべき
弘文堂から出ている「会社法」の焼き直し,二番煎じといったところ.
岩波新書にしては期待はずれといったところです.岩波側の編集者に抗議したいくらいです.
第1章「なぜ,今新「会社法」か」の部分は歴史を理解する上でそれなりに読める.
しかし,それ以外は弘文堂や神田教授が日経新聞で論及していることと比べて目新しいものはない.
せっかく,弘文堂のダイジェストとするなら,せめて会社法の条数を併記すべきである.
正直言って,かなり物足りない.
本書を買おうとする人にはあと2千円払って弘文堂版を買うのを勧める.


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地球持続の技術 (岩波新書)

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環境問題→この本から読むべき!(ゴア以上)
まずはぜひ読んでもらいたい!
1999年が初版であるが、今こそ読むべき本である。というか、初版当時に読んでいれば、この8年近くの間、もっと違う行動ができたかもしれない。世の中で「環境問題」とか「地球温暖化」と言うけれど、これに対して我々が何が出来るのか、何をする必要があるのかについては、断片的であったり、結論的(するべきことのみが決まっている)であったりして、その行動が何をどう改善しているのか(改善する可能性があるのか)については、一般的にはあまり具体的に語られていないように思う(ゴミの捨て方だって、きちんと分別しているようで、実際にはどのあとの処理についてのきちんとした知識は無いのだ)。そういった点をこの本は細かく丁寧に解説し、何をすることが何を改善してゆくことになるのかを示してくれている。
きちんとした理解無しに、いわゆる「環境的な行動」をとることは逆に環境悪化に繋がる可能性もあるのだということを示しつつ、独りよがりにならず、皆が知恵を出し合って現状についての理解やとるべき行動についての情報共有や議論を進めることが重要であると語る本書は、地球のことを考える第一歩として読むべきものであると思う。小学生とかにきちんと読ませたい。いや、本当に勉強になりました。

行動するためのビジョン
今のペースで人口が増え、エネルギー消費が拡大し続ければ、やがて化石燃料や天然資源が枯渇し、大気中の二酸化炭素の濃度が上昇する。環境が破壊され、地球に人類が住めなくなる。そんなシナリオを耳にし、環境問題に興味を持つ人は多いだろう。しかし、本当のところ問題がどれほど大きいのかつかめないため、行動に二の足を踏む人が多いのが実情だろう。

行動には明確なビジョンが必要である。

環境問題の理解とその対策を考えるには、データに基づいた判断、科学的な視点が欠かせない。その上で、50年後を見据えた大きなビジョンが必要となる。

本書は2050年に向けたビジョンを与えてくれる。環境問題の核心を掴みたい人にとって格好の入門書である。科学者、技術者に読んで欲しい。研究や技術開発には大きなビジョンが必要であり、科学者の先輩から明確なメッセージを受け取ることができる。科学と関係ない職業の人にもお勧めだ。著者は、できる限り専門用語を使わずに説明するのが得意である。分量もコンパクトで、何をどうすべきかの議論を受け取れる。各論を寄せ集めた環境問題の入門書とは明確に異なる。まずは多くの人に読んで、議論の原点として、著者の提唱する「ビジョン2050」を一考して欲しい。

地球環境問題に対する知識が、定量的で簡潔にまとめられている素晴らしい新書
 地球環境問題に対する知識が、このように定量的に整理されて簡潔にまとめられている本は恐らく今までにはなかったと思う。なにより価値があるのは、この問題について、このようなまとめを可能にしている著者の思想である。特にこれから地球環境問題について勉強しようと思っている若い人は、是非この本から著者の思想を汲み取り、対象の範囲と精度をたかめていってほしいと思います。

環境問題の目指すべき方向性を教えてくれる好著
地球環境問題、特にエネルギー問題をエネルギー保存則などの
基本的物理理論により一般向けに分かりやすく解説した本です。
身近な事例を使っての説明が多く、わが身を振り返り、考えさせられる部分が多々あります。
特に、人間によるエネルギー消費が分野別にどうなっているかを解説した部分では
素材産業に比べ組立て産業のエネルギー消費が意外に少ないことや、
全エネルギー消費に占める自家用車の割合がかなり高く、物理的には非常に無駄が多いことなど、
結構目から鱗が落ちます。
また、現状のエネルギー効率によって、リサイクルや省エネが無駄であるという論にも組せず、
理論的限界を見据えて、追求すべき技術課題を的確に示している点など、
長期的ビジョンに立った、目指すべき方向性を見事に示してくれます。

後はこのビジョンに沿った技術革新によって、2050年には経済活動がどうなるのか、
経済学者による検証に期待したいと思います。

資源問題の基本的な考え方が身につく。
 エネルギー資源の代表格・石油は、今世紀中に枯渇するとされている。こうしたエネルギー資源問題への対策には一般的に、[1]エネルギーをむやみに使わず節約する(省エネルギー)、[2]同じ量のエネルギーを使うにしても、より効率よく使う(エネルギーの高効率化)、[3]太陽光などのクリーンなエネルギーを使う(新エネルギー開発)、といったことが考えられる。
 この本でおもに扱われているのは2番目の、エネルギーをいまよりもっと効率よく活かす技術だ。いまの人間活動には、まだまだエネルギーを効率よく使う余地が多くあるという。たとえば自動車。二酸化炭素排出の大きな要因となっている自動車ではあるが、理論的にいえばなんと燃料いっさいなしで走ることができるのだそうだ!(タイヤ・道路間の摩擦で生まれる熱を車の発進時に使えば、燃料は要らなくなるという)。

 人間活動を各作業ごとに区分けして比で表すとすると、燃焼、還元は1000、吸熱、発熱反応は100、蒸発、凝縮、膨張は10、融解、凝固、加熱、冷却、分離は1、輸送、形成は0になるという(熱燃焼を100とする)。この数値を知っておけば、自分を含めた社会がしている行為がどのくらいのエネルギーを使っているかを考えることもできる。実体の掴みづらいエネルギーというものを数値として計算できるようになるので、たとえば「リサイクルはエネルギーの無駄づかい」といった話も誤解であることがよく理解できるようになる。

 エネルギー問題の基本的な考え方がしっかりと身につく本だ。知っているようで知らなかったことが多いと気付かされる。数字の話もけっこう多く出てくるけれど、どれも無駄な情報はない。逆にこれらの基本的数値を把握しておけば、環境の時代を生きていく上でなにかと優位に立つことができるだろう。とくに、これから素材や製品の技術開発を目指すような方や、環境問題をビジネスチャンスとお考えの方には格好の入門書になると思う。


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労働、社会保障政策の転換を―反貧困への提言 (岩波ブックレット)

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by 遠藤 公嗣 木下 武男 布川 日佐史 本田 由紀 後藤 道夫 今野 晴貴 小谷野 毅 河添 誠 田端 博邦 Search 遠藤 公嗣 木下 武男 布川 日佐史 本田 由紀 後藤 道夫 今野 晴貴 小谷野 毅 河添 誠 田端 博邦 遠藤 公嗣 木下 武男 布川 日佐史 本田 由紀 後藤 道夫 今野 晴貴 小谷野 毅 河添 誠 田端 博邦

労働、社会保障政策の転換を―反貧困への提言 (岩波ブックレット) by 遠藤 公嗣木下 武男布川 日佐史本田 由紀後藤 道夫今野 晴貴小谷野 毅河添 誠田端 博邦 価格: ¥ 504
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若者救済すらしないで、どこに未来があるのか?
 前半では、労働法がフリーターや派遣社員を救えていない、フリーターといえども正社員並みに働かされている等、3000人への聞き取り調査結果や正規雇用数・比率と非正規。無業人口比率の各推移、雇用形態による年収・性別分布などデータで、世間で喧伝される「自由に選んで贅沢な事を言って働かない」のではなく、働く場が狭められている現実を明らかにする。

 その上で後半では、雇用、職業訓練、派遣法、賃金体系から生活保護、被用者保険の加入要件緩和・掛け金引き下げ、住宅までセーフティネットに至る提言を行っている。

 本書はここまでしか書かれていないが、更に言及するならば、11年連続自殺者3万人超でも具体的政策を実行しない政府が、経団連に反してこのような提言を飲むとは考えがたいが、自由な調整弁として人を切っていけば、企業活力は低下し、技術の伝承は途絶え、優遇されているかに見える正社員にとっても労働強化の波が圧し掛かり、巧妙な残業隠しの末の過労死、職場いじめが更に増大する事はあっても減少には向かうまい。
 また低賃金・不安定な雇用を若者に課せば、今後社会保障が必要でない人までその予備軍とするおそれは充分にあり、保障を受けるもその負担をするも地獄となるのは目に見えている。

 企業でなく人を大事にしないと、国全体が共倒れとなる未来が口を開けている(もう遅いかもしれないが・・・)。

今こそ転換の具体的な議論を
 本書は2007年ごろから顕著になった若者の貧困について、その分析と改善のための提案をまとめたパンフレットです。
 前半では、働く若者たちの現実がNPOのアンケート調査より、「違法状態への諦念」、「使い捨てからの偽りの出口」、「実質なきやりがい」の3つのポイントでまとめられています。労働法を知り違法状態だと知っていながら会社に対して改善を求められない若者、改善を求められない代わりに労働条件改善の保障が全くない転職に希望を見出そうとする若者、無理やりやりがいを持つことで劣悪な職場環境を肯定し、更なる低賃金と労働強化を誘引している若者像が浮き彫りになります。この悪循環を打破し、失われた会社との交渉力をユニオンによる新しい集団性の創造によって回復することを呼びかけます。
 後半では若者が生きられる社会のために、共同提言がなされます。その内容は若者雇用促進法の制定、労働者派遣法の抜本改正、同一労働同一賃金による賃金制度改革、最低賃金の引き上げ、長時間労働の規制強化、労働者保護法規を広く教育・普及すること、社会保険・生活保護の適用拡大と国家の補填による社会保障の充実、そして住環境の公的整備など、多岐に渡っています。しかし、どれも貧困に陥った若者の生活を支え、自立の軌道に乗せるのには最低限必要なものであり、ヨーロッパ各国では実現しているものです。遅きに失したとはいえ、今こそ本格的な貧困対策を講じるべきです。
 本書は60ページほどの薄いパンフレットであるが、その現状分析も改善提案も極めて具体的で整合性がとれており、一見に値する。膨大な数の若年貧困者を生み出してしまった今、多くの国民が本書を片手に、日本の若者と日本の将来の姿について、真剣な討議をするときであると思います。


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事業再生―会社が破綻する前に (岩波新書)

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入門編としてはいいかもしれないが
事業再生には、実に多くの知識が必要であり、そのすべてを新書に詰め込むというのは、どだい無理な話。それでも、最低限の知識は得られるかも知れない。だから、事業再生についてまったく知らない人が最初に読むにはよいかもしれない。ただ、事業再生の現場の進化は早く、この本の内容もすでに陳腐化している。また、企業再生の実態を知りたい人にはもの足りない内容だと思う。

図表が豊富で、基礎から説明されており、事業再生に関して読む1冊目にふさわしい
・著者は、弁護士や裁判官を経て産業再生機構の委員長となった人物。
・本書が出版されたのは2006年。したがって少々データが古いが、「銀行の不良債権比率の推移」、「M&Aの件数」、「ファンドの仕組み」、「主なゼネコンへの金融支援」、「産業再生機構の業務の流れ」、「私的整理手続きの流れ」などの図表があり、事業再生の着目点が分かりやすい。
・M&Aに際しての企業価値の評価方法(「EBITDA倍率法」、「DCF法」、「純資産法」)、メインバンク・システムの弊害、デット・エクイティ・スワップなどの基本が押さえてある。債権者集会の様子はリアルに書かれている(P.176)。
・米国のRTCなどの外国の資産管理会社の例、世界の再建法制度も紹介されている。

諸外国の事業再生への取組が分かる本
・筆者は米国倒産法の権威で、日本の事業再生理論の構築者である。弁護士で初の裁判官も勤めたユニークな存在でもある。
・本書では米国以外での事業再生についても述べてある価値ある書である。
・世界的組織のTMAにも属する有力な理論家。公的役職も多々経験されている。
・著者の行動を知れば「次の法改正」が窺えることは注意されるべし。
・本書は「日本における事業再生」を知るには必読書である。

再生の法務・会計に興味がある方にはいいかも。。。
事業再生を再生する際の実務とか、ノウハウとかをまとめた本かと思ったら、全然違った。日本で企業(事業というよりは)を再生しようとする際の、法的および会計的な基礎知識をまとめた本。学生とか、法務・会計担当者が勉強するのにはいいかもしれないけど、あまりに退屈で、最後まで読み通すのは至難の技。

再生の視点から法務・会計をまとめた本があまり無いのは本当だし、いろんなトピックがよくまとまっているとは思うど、再生を「自分で実行したい」人には、「V時回復の経営」とか他に読むべき本は一杯あるので、特に法務・会計に興味があるとか、コンサルとして最低限の知識を身につけたいとかで無い限り、あまり勧めませんね。

事業再生に関する知識のインプット
同じ著者による『企業再生の基礎知識』の全面改訂版。著者は産業再生機構の産業再生委員長で「倒産弁護士」の草分け的存在。前著では実務的な内容が淡白すぎた感がありましたが、企業会計や会社法など隣接部門の基礎知識から昨今の法改正の動向の裏知識的な記述まで今回は比較的広く浅く記述しています。体系的な知識の習得というより事業再生に関する多面的な知識のインプット向きです。


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社会起業家―社会責任ビジネスの新しい潮流 (岩波新書)

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利益循環
社会起業とは何かを提起し、新たな起業の方向性を示唆している。利益が出ないと参入もなく、市場としては発展しないのでは、と感じた。

内容に古さは感じない
社会起業家について興味を持っている方はもとより
資本主義について疑問を抱いている方や
価値観の変化を感じている方にも訴えてくる内容だと思います

第一章、第二章とほぼ同一テーマである
「NPOのビジネス化(企業化)とビジネス(企業)の社会化」
は今読んでも古さを感じず、
特に日本ではまだまだこれからのビジネススタイルなんだと思いました

社会起業家支援についても紹介されてあり、
社会起業家を目指していたり興味をもっていたりする方には実用的だとも思います
ただ、刊行が2004年ということもあり停まっているwebサイトもあります
そのため☆を1つ減らしました

ですが、キーワードは多数得られると思いますので
そこから検索して社会起業家の現在を知る手がかりになる一冊ではないでしょうか

貴方は、今の世界に満足していますか?
貴方は、今の世界に満足していますか?
なんか今の世界、社会はおかしい、なんとかこの世界を変えたい、と思っている人は多いと思います。そんな人にこの本は、参考になります。元気のいい先駆者が紹介されています。この本を読んで「まずは、自分の周りでできること、自分がやって楽しいこと」から世界を良くしていきましょう。僕も行動します。

ちょっと古い
まじめに作っているね。でも世の中はこの本が出たときよりも、どんどんすすでいるようで、ちょっと読んでいても、情報も分析も、"終わった”感じがするのは私だけでしょうか。筆者には、本書を越える最新版を書いてほしい。書いているのかな?

日本の事例もフォローしている。構成もよい。入門書として最適。
社会起業家という人がどういった人たちなのか?
主に人に焦点をあてて書いている本。
僕が社会起業が好きでいろいろ読んでみようと思うのは、そこに個人の環境や事業や、達成したい社会に対する強いこだわりを見るからです。
そこには非常に人間的な感触や共感があって、読んでいると気持ちよくなれるのです。

先行するUSの事例だけでなく、日本での事例にも非常に具体的なレベルで触れているので、最後まで興味をもって読みきれました。
前半で、NPOと企業の関係性とその変化を説明してくれて、後半で具体例を見せてくれるという構成も、とても良かったです。
社会起業に興味を持つ人の、一冊目としてとても良い本だと思います。この本に出てくるところから、自分の興味対象を掘り下げていくと、いいのではないでしょうか?
そのうち、こうしたコンセプトや取り組みが、大学の授業などにも採用されることになる気がします。


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あたらしい選択
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ウォーター・ビジネス (岩波新書)

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「水はタダだはない」では済まない現状
日本は水資源に恵まれた風土にあるため、水が生きるために必要不可欠であるものと知りながら、それが無い状態をリアリティを持って想像することは難しい。

水を巡るビジネスで問題となるのは、「水は誰のもの?」という問いである。
地下水は広範な地域に広がって存在するため、汲み上げた場所がどこであろうと水源は共通であることが多い。
一部の企業や個人が自身の利益のためだけに水を汲み上げ続け、周辺地域の生活に必要な水まで消費してしまうことが今後起こるかもしれない。

また、水道事業を企業が行うことについて、公営よりも効率的な経営ができるというメリットがあるとしても、生きるために必要な資源を営利団体の管理下に置くことが長期的に見ても問題にならないのかどうか。

本書は水を巡るビジネスの実情を知るのに良い資料であり、これを読むことで水に関する諸問題を身近な問題として捉えるができるであろう。

資源は偏在している・・・
多くのレビューの方々は水資源のビジネス化に疑問を抱いているようですが、
石油・ガスや、金・銀などの資源を有することで
そうした資源を経済的な価値に変換して国富としているのを鑑みると、

改めて日本の水資源の豊富さに驚きを覚えるとともに、
ビジネス化することで、新しいお金の流れができるのでは、と思います。

現在は石油よりも高額なペットボトル版輸入水が売られていますし、
実際そうした水を購入している消費者がいることを考えれば、
日本ブランドの水を海外で売ることも今後視野に入ってくる気がします。

そのさい、何でもかんでも反対という路線ではなく、
地下水を育んでいる森林の整備や取水の厳格な管理などに
新たな投資のお金を民間が費やすことができれば、
林業などの再活性化を税金を使うことなく、達成できるのではないか?

水はタダではない。
 日本が水と安全はタダというのは、すでに過去のお話。
日本は島国なので、今まで水の争いということは起こらなかったが、
果たして、今世紀中はどうであろうか?

本書では、世界的な人口増加傾向で、特に開発途上国の水不足に警鐘を鳴らしている。
海に囲まれている、我が国では考えもしなかったが、
地球、1国だけでも「水」というものは、偏って存在しており、
不平等な分配による、戦争・紛争の懸念や、水不足が深刻化した際、
砂漠化の恐れを危惧している。

ボトル・ウォーターの売り上げが、日本でも欧米諸国に追いつくぐらいに、増加傾向であり、普通であれば、
安価に入手できるものを、消費者はより多くのお金を払い購入し、企業は儲けているなど、
「水」は誰のものか?
という事を問われた入門書的な書籍である。

水は無尽蔵にはない
地球上に存在する水のうち97.5%は海水であり、人間が飲める淡水は2.5%である。この淡水の大部分は南極・北極地域などの氷として存在していて、地下水を含めて、河川、湖、そして沼などにある淡水は地球上の0.8%である。しかもその内の大部分は、地下水であり、比較的利用しやすい河川や湖などにある量は、地球上のわずか0.01%である。


その0.01%の水は、石油や天然ガスなどと同じように偏在しており、多くの人が水不足に直面している。一方、日本はその偏在の恩恵を受けており、平均年間降水量は世界でもトップクラスである。しかしそれにもかかわらず、日本は世界最大の「間接水」輸入国でもある。

米や野菜などを栽培するためには、水か必要不可欠。牛や豚、鶏を飼育するのにもたくさんの餌がいる。この餌用の穀物を育てるためにも、水が必要となってくる。日本は食糧自給率が、カロリーベースでおよそ40%であり、多くのものを輸入に頼っている。要するに、日本は農作物の耕作を海外に「委託」することによって、国内の水消費量を低く抑えられている。

この間接水の概念を用いると、牛丼並盛り一杯で2トン、ハンバーガー一個で1トン、そして月見そば一杯では750キロ、の水が海外で消費されていることになる。

水問題を考えるうえでの入門書に最適だと思う。

公共の経済について考えさせてくれる本
水と空気はみんなのものだから、特に贅沢な空気とか水でない限り、ただ普通で安全なものなら、それを売って儲ける人の住んでいる社会はどこか変だ。そう感じることが正しいのだと思う。
ビジネスとは、それが成立する社会の存在を条件としているもので、条件自体の根底になるものを作り出すものではない。そこに境界を引きにくく感じるのは、すでにお金に目が眩んでいるからだけだ。この本は、身近な水を例にとってビジネス崇拝社会の問題を考えさせてくれる。


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ディズニーランドという聖地 (岩波新書)

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ディズニーランド化しつつある世界の原点
 1949年に生まれ、UCLA大学院に留学し、嘱託として東京ディズニーランド建設に関与した文化人類学者(最初はディズニーランドに幻滅)が、1990年に刊行した本。1955年カリフォルニアに開園したディズニーランドは、ウォルト・ディズニー(生前既に半ば伝説化)が過酷な自然・家庭環境の中で過ごした少年時代の陰画であり、それ故に周囲の反対を押し切り、テレビ局に強引な要求を突きつけながら実現させた、「あらゆる世代の子どもが楽しめる」安全で清潔な夢の国であった。それは未来・御伽噺・西部開拓・「未開地」探検(オリエンタリズム!)を題材とし、周囲の現実世界から完全に隔離され、彼が映画制作で学んだ技術の全てを三次元に応用したテーマパークであり、しかも常に変化する「生き物」であるとされた。オーディオ・アニマトロニクスの開発による1964年のニューヨーク世界博での成功は、ディズニーの国民的名声を確固たるものとし、大企業と提携した大型設備の増設を可能ならしめ、第二期の始まりを告げた。そこでは、現実以上に現実らしい擬似世界が繰り広げられ、むしろ現実の側が虚構を真似る傾向を生み出しつつある。1966年のウォルトの死(冷凍による生存説もあるが)後の第三期にも、ディズニーランドは成長を続け、1971年にはフロリダ州オーランド(より巨大・愛国的で、限定的な「主権」を有するウォルト・ディズニー・ワールド)に、1983年には千葉県浦安市(東京ディズニーランド)に、また賛否の分かれる中、1990年代にはパリ郊外(限定的な「主権」を有するユーロ・ディズニーランド)にも進出する。1980年代、外部から参入した若い経営陣の下で第四期を迎えつつあるディズニーランドは、アメリカ精神(やや一体のものと見すぎか)のエッセンスとして既にアメリカの一種の「聖地」と化している。主に経営側の立場からの鋭い分析。

私はディズニーランドは嫌いです
東京で勤務していた時、南行徳に住み、すぐ隣の新浦安の仕事をしていたにも係わらず、ディズニーランドには行きませんでした。
結婚して仕方なく妻と行きました。その後、子供達にせがまれて行きました。
私はひねくれ者です。あそこに一歩入ると、みんな「良い人」になるのがおぞましいのです。それがディズニーの魔法ですか?
では一歩外にでたとたん、電車の席を取り合う姿。あ〜気持が悪い。
アナハイムのディズニーランドとユニバーサルスタジオ両方行きました。気がついたことがあります。
ユニバーサルスタジオにはアフリカ系アメリカ人はほとんどいませんでした。ディズニーランドには大勢いました。
なぜだろう?私見ですが、家族で一日遊べば結構な金額です。
それでは行くのならディズニーランドとなるのでしょう。夜の10時過ぎに眠った子供を抱えて、
ミッキーの帽子をかぶって嬉しそうなアフリカ系のおじさんを見て、
「あ〜ユニバーサルはエンターティメントで、ディズニーランドは聖地なんだ」と思ったものです。
アメリカとディズニーのおぞましさを解剖してくれる本です。

ディズニーランドを学問する
本書はディズニーランドの生い立ち・成り立ちの分析を通じて、
アメリカとアメリカ人のメンタリティ、
さらには現代資本主義社会の病理までもえぐり出す名著です。

入口ではミッキーマウスが楽しくエスコートしてくれますが、
アメリカ史を横目にウォルト・ディズニーの頭の中を巡る中盤、
そしてウォルトの死後、ディズニー・ワールドの垣間見せる管理社会ぶり、
さらに浦安・パリへと拡大していく「ディズニーランド」…。

それらに昨今の無邪気なアメリカ型グローバリゼーションを重ね合わせていくと、
出口付近では若干気持ち悪くなってしまう、
そんなジェットコースターに乗せられた気分です。

小著かつ15年以上前に書かれたものですが、
折に触れて読み返して、
そこにちりばめられている問題意識を確認したいと思いました。
最近読んだ中では最も知人に薦めたい本です。

意外に面白そうなディズニーランド
 ロサンゼルスのディズニーランドで、東京ディズニーランド開園時に日本人スタッフの研修の仲立ちを行い、ウォルト・ディズニーの伝記の翻訳者でもある能登路氏が、「ディズニーランドとは何か」という問題に取り組んだ力作。ディズニーの生涯を基本軸に、各アトラクションの内実と意味合いが分析されている。アメリカのディズニーランド、ディズニーワールドが中心で、浦安の話ではない。

 ディズニーランドがいかに隅々まで統制・計画された空間なのか。ディズニーランドへの訪問方法、入場、アトラクションへのアプローチと分析が進むにつれ、薄ら寒いほどの管理体制と計算が明らかになり、アメリカンドリームの恐ろしさが見えてくる。しかし能登路氏はそれを糾弾するだけではなく、ディズニーの素晴らしい思いつきとして賞賛することも忘れない。そのあたりのバランスが、本書を優れた書物にしている点だろう。
 ディズニーランド嫌いの私にも、「ちょっと行ってみようか」と思わせるほど魅力的であった。
 アメリカ文化に関心のある方には必須の書物。

ディズニーランドという聖地
ウォルト・ディズニーの性格からディズニーランドに関することまですべてが記載されている。これを通してアメリカ文化を知ることができるのである。時間を忘れて読んでしまう本である。


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地域再生の条件 (岩波新書)

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町おこしのヒントが随所に。
商店街にシャッターがおり、人通りも少なくなった地方都市。国の農・林業政策では後継者はおろか、生活が成り立たない。国鉄、郵政民営化など古きよき時代に戻りたいと思っている人必読です。
地域の実情に合った街づくりを住民パワーで成功させた事例があり、町おこしのヒントがあります。地域が元気になることは国が栄えることを教えて呉れる一冊です。

ONLY1.を目指すための、地域再生の事例集
地方が元気でない国は、
継続的に繁栄することはできない。
各国を旅し、歴史を顧みても、つくづく思います。

一方日本は、想像以上に、
地方の衰退・荒廃が進んでいます。

例えば、県民所得差は、順位一位の東京の426.7万
に対して、最下位沖縄は、204.2万。
2002年から2006年の間で、その差が13.1万と拡大。
明らかに格差の拡大が進んでいます。

2004年の三位一体改革による、実質的な交付税と補助金の削減。
人口比率配分による財源移譲。
おそらく機能不全、セーフティネットの崩壊、
基本的人権さえも保障されない生活。
改革は否定しませんが、
自立・自律を学べていない今の地方には残酷です。

さて、本書は、著者が、全国を旅し、
そこで遭遇した、各地方の取り組み事例を紹介しています。
少子高齢化と、政府の政策誤謬に原因があるとして、
地域住民の自主的な取り組みが必要であるしています。
が、それ以上は何も方向性は提示していません。。。

それでも、全国をくまなく歩いて見つけられた事例からは、
今後のヒントとしては参考になるはずです。

・ノマライゼーション・安全・安心を軸とした地域
・地場産業の復活
・自然との共生
・地域独自のブランド化
・住民主体による地域づくり

重要なのは、画一的な取り組みではなく、
地方が保有している独自性を活かせるか、どうか。

経営戦略における、マーケティングの世界でも、
どんな会社・製品でも、ちゃんと考えれば
必ず、自社がNO.1になれる市場セグメントがあります。
(コストに対する、市場の大きさが見合っているかは別ですが)

だからこそ、
私はどんな地方にも、必ずONLY1.になれるポテンシャルがあると
信じています。

そして、国家は、皆ながわくわくするような
日本国のグランドデザインを提示するタイミングなのではないでしょうか。

地域再生のネタが満載
経済活性化、福祉の再生等、様々な地域再生の取組事例が雑多に満載され、地域再生の各地の取組を網羅的に知っておきたい人には最適な本。ただし、「国が政策を間違えなければ地域は再生できる」という楽観主義に貫かれており、目の前にある危機に対して地方がどうとりくんだら良いのかというビジョンは「地方が自主的に取り組むしかない」という方向性以外は何も示されておらず、著者にストラテジーはない。徳島県上勝町の一戸当たり農業所得を一桁多く間違えるという、とんでもない誤りもあるので注意。

地方居住者必読!!
一気に読み上げました。
既に長年このテーマについての見識が深い方々には新しい発見や新鮮な提言はないかもしれませんが、未だこの分野についての知識が不足していて地方政治への偏見が強い人は読んでおくべきでしょう。構造的な問題がいわゆる「構造改革」では改善されるどころか、さらに追い詰められていく過程が分かりやすく理解できます。
都市部の方々はどうせ自分たちの幸福しか頭に無いから読まないだろうし読んでほしいとも思いません。地方に住む方々はなぜ今自分たちの生活がこのような現状なのか理解できます。
マスメディアを利用した機関の「ウソ」に騙されないでください。
特に官僚・地方役人の皆さん。現在の我が国に何が起こっているのか今一度再検証してください。

国土計画を逆照射
著者は国土計画を長年研究してきた。あとがきでは、「国土計画・地域政策を逆照射してみたらどうなのかと、まとめたのが本書です」と記述している。

そう記されている通り、現場の空気をふんだんに織り込みながら、近年国が進めている「地域再生」について鋭い分析・批判を加えている。「地域は再生できるのか?」という問いに対して著者は、「希望と絶望、楽観と悲観の間を部妙に揺れ動きながら、市町村自治体と議会、住民の意識改革に期待して、希望と楽観に傾きたいと思います」と記述している。この記述は、長年、豊富な取材と研究を重ねてきた著者ならではの冷静な見方といえよう。

「地域再生」に関して批判的視点も入れて冷静に分析している文献はあまりないだけに貴重である。


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