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この作品の得体の知れぬ力 ![]()
これは難解な映画であるとよく言われます。
しかし、私の見たところ、
初公開時から議論を呼んだ有名なラストシーンを別にすれば、そこにたどり着くまでに主人公が経験するいくつかのエピソード自体は、さほど分かりにくいものではありません。
それぞれのエピソードは、映像も物語も、ひと筋縄ではいかない深い含蓄を裏に秘めてはいるものの、
その一方で、観客の目をを画面に釘付けにさせる「親切な」工夫も決して忘れてはいません。
要するに、意外なほどサービス精神に富んだ、見る者を楽しませる作りになっているのです。
解釈に苦労するような難しさは、ほとんど見受けられません。
ところが、この、決して「分かりにくい」とは言えないいくつかのエピソードが、物語の大きな流れに乗って、ひとつ、またひとつと重層的に積み上げられていくうち、観客の頭には得体の知れない「もや」がかかり始めます。
何が正しく何が間違っているのかよく分からない、判断力のマヒとでも言うべき状況が訪れてくるのです。
思うに、観客はある種の催眠術にかかってしまうのかもしれません。
催眠術師は、誰もが普通に使う、聴きなれた「分かりやすい」言葉によって、被験者を夢幻の境地に導きますが、
この映画の手管もそれに似ているような気がします。
決して難解とは言えないエピソードに、ひとつ、またひとつと立ち会わされているうち、観客の精神は次第に日常の価値基準から切り離され、もやのかかった混沌の中に引きずり込まれていく。
そして、夢を見るのです。
もやのかかった頭で自分が殺人を犯す悪夢を…
私は長い間、この作品のラストシーンは失敗だと思ってきました。
ストーリーに関して壮大な大風呂敷を広げ過ぎ、袋の口が閉じられなくなった作り手の、破れかぶれの支離滅裂さが現れたのが、あの「分けのわからない」ラストシーンなのだと、あまり評価してこなかったのです。
しかし、今ではだいぶ考えが変わりました。
夢ともうつつとも知れぬあのラストは、観客を夢幻の境地に導く力を持ったこの映画の終幕に何よりふさわしいものではないのか。
そう考えられるようになったのです。
ひょっとしたら現実には、私が推察した通りの、現場のドタバタが露骨に現れただけのラストシーンなのかも知れません。
しかし、たとえそうだとしても、瓢箪から駒。
窮余の一策としてイヤイヤ提出したものが、かえって最良の効果をもたらすという、嬉しい誤算が起こっていると思います。
いずれにしてもこの映画は、転んでもただでは起きないという、得体の知れぬ力を持った作品のように思えます。
この力とは取りも直さず、監督のコッポラがこの作品に注ぎ込んだ執念に他ならないのかも知れません。
この作品の後、コッポラがこれをしのぐものを二度と作れなかったというのも、なんだか妙に納得できるような気がします。
映画で表現したかった内容はなんとなくわかるが。 ![]()
結局モチーフを絞り切れず、映像てんこ盛りに無理に3本分(2本)つなぎ合わせた映画になってしまった気が。ベトナム戦争のアクション映画、60、70年代サブカル・カルト思想映画、『王殺し』など人類の原始的心象と制度をモチーフにしたSF映画!である。多様な映像やモチーフの屈折と接続の仕方が、駆け出し監督の修作のようではある。失敗作、興行を見失った作品に感じられるのはやむを得ないが、破綻を見せないキューブリックやらオリバー・ストーンよりも、時代の生々しさと、どこへたどり着くのか分からない緊張の含みがある分、突っ込みどころに富んでて好きだ。 劇場版でカットされてたのが、アバンチュールと呼ぶには悲しい性的行為の2場面と、高度に政治的な仏植民地の名残での論争場面で、公開タイミングなどで、朝鮮戦争、ベトナム戦争を本当に意識してたのが伺え、制作者は誠実に取り組んでたのがよく分かる。
それにしても、20年、30年後のオウム真理教のコミュニティの出現を見通してたかのような、予言的な映像には凄みが。コミュニティ構成員たちの虚ろさも、高度管理社会内部の自分たちの顔でもあるかのようで、この映画そのものを文学的事件にさせている。
謎に満ちた戦争映画 ![]()
コッポラは戦争に「ついての」映画をつくるのではなく戦争を「やる」ことを目論見、
撮影に臨んだ。
撮影はフィピリンだが、当時、撮影現場近くにベトナム戦争の難民がまだ居住していた。
ヘリコプター部隊がべトコンの拠点の村をサーフィンをやるために襲撃し、
海岸近くのジャングルをナパーム弾で焼き払うシーン、
あのあまりにも有名な映画史に残る大爆発シーンの撮影では
近所に住んでいたベトナム難民たちは轟音を聞いて実際の爆撃が始まったと思い込み、逃げ惑ったという。
コッポラの目論見は実現していたのだ。凄まじいエピソードである。
北爆の悪夢が甦ったのだ。
コッポラはこのシーンでなんと数万リットルのガソリンを一気に爆発させた。
フィリピンでまさに“北爆”そのものをやったわけだ。
映画を口実にして実際の「戦争」をやる。
僕はこれこそ映画史上最高の「撮影秘話」だと思っている。
特別完全版に意味があったのか ![]()
これを観たのは(完全版じゃないほう)は高校時代。「ヘンな映画…」という印象しかなかった。
そしてこれを(いやいやながら)観たが…やっぱりつまらん。簡単に言えば、まずいお米にさらにまずい刺身をのっけた寿司…といったところか。
立花なんとかというエライ学者さまが大真面目に論じていらっしゃった…だが、それは芸術品の名の便器を大真面目に論じるようなもの。価値ゼロ。
フランシス・フォード・コッポラの恥ずべき大失敗作。偶然ヒットしたから有難がられているのだろう…だって、つまらないものはつまらないからだ。そうとしか言えない。
こんな映画観るくらいなら「プライベート・ライアン」「戦争のはらわた」「シン・レッド・ライン」(そういやこれもそんなに面白くなかったな)など、多少はマシな映画を観て欲しい。映画に詳しい方になら誰にでもわかるが、この失敗作はコッポラの勘違いの始まりであった。
あと…気になったのだが、なぜ現地人がまともな言葉喋っていないんだろうか。
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