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悲しいを通り越して衝撃的ですらある悲劇 ![]()
出会いは不思議だ。偶然知り合った年上の女性ハンナとの狂おしい愛の生活に耽溺する少年マイケル。なぜかハンナは自分のために本を読んでくれと言う。いつしかそれは甘い日常として定着していくのだが、アンバランスさの中に住む二人に別れの日がやってくる。深い喪失の日々から立ち直ったかに見えたマイケル。ところが思いもかけぬ場所で厳しい状況に置かれたハンナに出会う。自らの秘密が露見することを恐れるばかりに刑務所に送られてしまう彼女。前半の濃厚なラブシーンが目に焼きついているだけにそこでの辛さは倍加して胸に痛い。ハンナを救うことができなかった、いや救わなかったといってもいい重い過去はマイケルの生き様にも影を落とす。ついにマイケルは昔のように本を朗読し、テープに吹き込んで彼女のもとに届ける作業に贖いを求める。彼女もそれをよすがに生をつなぐのだが・・・。秘密と引き換えた大きすぎる代償に翻弄されるハンナ、してもし尽くせぬ後悔を味わうマイケル、両者の姿はあまりにも悲しくひしひしと観客の心に沁みわたっていく。その悲しみの中、本を読むという行為だけが二人を繋ぎ、聖なる福音のように響くのを感じることだろう。この作品、悲しみをもってして魂を浄化できる者だけが見ていい作品なのかもしれない。悲しくかつ厳しいストーリーだがいい映画だ。
朗読者 ![]()
たったひと夏の出来事が、その後の人生を変えてしまう。
多感な時期にあんな経験をしたら、その影響力は計り知れない。
少年時代のマイケル役があまりにみずみずしく輝いていたおかげで、
レイフ・ファインズに変わってからは感情移入がしにくくなってしまった。
常識的とは言えない二人の関係が長く続くわけはなく、
蜜月の時期でさえ終わりの気配や不安定な空気が漂ってきて
切なくなる。
特にサイクリング旅行のシーンは、楽しそうな二人がキラキラと
眩しくて、涙が出てきてしまった。
幸せだったあの夏の日、数十年後に全てが終わってあの思い出の
場所を再び訪れたのが寒い冬だったのは象徴的だと思う。
彼女が犯した罪や、重すぎる判決を受け入れてまで隠したかった
秘密の他にも、ナチスへの罪悪感に苦しむドイツの若い世代など、
様々なテーマが物語に厚みを与えている。
説明不足気味に進んでいく展開がまた良くて、裁判中、
二人が接触したような描写がなかったからこそ、判決の瞬間迷わず
見つめ合うシーンが活きていた。
来なかった面会者が彼であることも、ハンナは疑わなかったのだろう。
最後に彼女があの決断を下したのは、出所したら二人が終わって
しまうことが分かったから。
塀の中と外のやり取りのほうがむしろ濃密で、かけがえのない
関係を実感できた。
彼女にとって、身元保証人と元囚人という関係に成り下がることは
絶望を意味したのだと思う。
裁判で無期懲役を言い渡された時よりも。
ケイト・ウィンスレットがすごいことになってきた。
老けたとか体型がどうとか、そんなことを超越した女優になっている。
アカデミー賞受賞時のスピーチじゃないけど、メリル・ストリープを
越える日が来るかも。
ただ、邦題のセンスは残念だった。
感情を排した『朗読者』というシンプルな言葉のほうがかえって
エモーショナルなのに。
やたらと脱ぐひと ![]()
映画監督のサム・メンデスと再婚してからというもの、脱ぎップリの良さが近年富に増しているケイト・ウィンスレット。バックスタイルのヌードにはかなりの御自信がおありのようで、20歳も年下の童貞君相手に読後セックスを繰り返し、その裸身を惜しげもなくさらけ出しているのだが、実際そそられるかどうかは好みの分かれるところだろう。ともあれ、女盛りの30半ばから60過ぎのおばあちゃんまでを一人で演じたウィンスレットは、本作品での演技が認められオスカー主演女優賞に見事輝いている。
実はこの映画の原作を10数年前に読んだことがあり、世界的ベストセラーになったわりにはちんけなオチにがっかりした記憶だけがあったものの、ナチスがらみのどんよりと曇ったストーリーの中で、服役中のハンナのために主人公マイケル(レイフ・ファインズ)が朗読テープを吹き込むハイライトシーンはなかなかの盛り上りを見せている。しかし、終身刑とハンナがひた隠しにするある秘密を秤にかけた場合どちらが重たいのかと問われれば、この映画の主人公と別の意見をもつ人もきっと多いことだろう。
青年時代のマイケルがアウシュビッツを訪れたり、ハンナを告発するユダヤ人(レナ・オリン)を美化したりするいつもの反ナチス親ユダヤ的演出もこの程度であれば許容範囲。同日に見た『トランスフォーマー』の出来があまりにもヒドかったので、リベンジ?のつもりでつい続けて見てしまったのだが、マイケル学生時代の法学部教授役で登場していたブルーノ・ガンツの渋い演技に感じた懐かしさも手伝って気分転換にはなった1本である。
あなたならどうしました? ![]()
獄中のハンナが必死の思いで手紙を書いたのに
なぜ返事を書いてあげなかったんだろうか?
再び出会ったとき、なぜもっと優しい言葉や態度で
彼女を包んであげれなかったの?
彼女を追い詰めたのはこの主人公なのでは?
なぜ反省を彼女に強いるの?
彼に言いたい。
「あなたならどうしました?」
この主人公に対してやりきれない怒りのようなものを
おぼえるのは私だけだろうか?
貧困層にうまれたがゆえに識字率が低く、またモラルの教育も
うけていなかったがゆえに教育を受けた人間との間に「ずれ」が生じていた。
正義面をして突き放すかのように断罪する主人公が許せなかった。
でもそれ以上に、どうして生きればよいのかわからず混沌とした世界に堕ちてしまった
ハンナに涙せずにはいられなかった。
ハンナは最後、きっと彼に抱きしめて欲しかったにちがいない。
「よく耐えたね」と。
「今度はきみがぼくに物語を読んでよ」と少年のときのように
いたずらっぽい笑みをうかべていってもらえたらどんなに嬉しかっただろう。
安っぽいハッピーエンドかもしれないけれど、でもこんな悲しい選択はみたくなかった。
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