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10万年の世界経済史 上

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定量化された人類の歴史
産業革命を境に技術と所得が爆発的に伸びた。
にも関わらず、定量化された「豊かさ」は原始時代のそれとあまり変わっていない。
日本で問題となっている少子化問題がマルサス的経済上、豊かな生活に寄与しているなどと
いうことは、今までとまったく異なる視点からの分析である。

世界各地、各年代の生活水準や出生率に関する情報収集や解析力には敬服するしかない。
下巻を読むのが楽しみである。

大きな視点で考えるのも大事
(※まだ上巻しか読んでいないです・・)
100年単位で世界史を俯瞰すると、死亡率・出生率・生活水準・人口など、
いくつかのパラメータだけで構造を説明できる、というのが本書の主張。
異論はたくさんあると思うけれど、こういう、複雑に見えることを
すぱっと説明しよう、という大胆な試みに触れることは、ものを
洞察する目を養う、と言う意味で大事なのではないだろうか。
文章、論理展開ともに読みやすいのも良い。

減点要素は以下。
・1章に1カ所くらい、「その説明は我田引水すぎでは?」と思うところが出てくる。
(そう解釈すれば、あなたの論理の補強にはなるけど、違う解釈も可能だよね)
・話が単調で少し飽きてくる
・ジャレド・ダイヤモンドの方が、話が多彩でずっとおもしろい。まずはそっちを読んでから。

経済成長という謎
本書は、著者自身やその他の研究者による研究に基づき、「1800年以降、イギリスなどごく一部の国々の所得は急激な上昇を見せた一方、その他の多くの国々では、それが見られなかったのはなぜか」という点について、代替的な諸理論では十分に説明がされないという傍証的な議論を中心として展開がなされる。その主張を簡単に要約するとすれば、「イギリスの産業革命期とそれに続く経済発展の重要な要因としては、富裕層がより多くの子供を残し、そうした社会層の思考様式や倫理が社会に拡散していったことがあるのではないか」という見方を示しているということになろう。派生して、著者は、主にIMFや世界銀行といった国際機関によって行われている途上国への援助の効果に対して疑問を投げかけている(原題は、「援助よさらば」であり、恐らく、アーネスト・ヘミングウェイの代表的著作の一つに引っ掛けているのだと思われるが、評者は、日本語訳のタイトルのほうが、より内容に合致していると思う)。

経済成長の問題に関心を持つ学徒にとっては、刺激的で、精読に値するものと思われるが、恐らく、学界においては、一つの見方を示したというのが大方の理解と思われ、時間的に余裕がある読者は、ロバート・アレン教授による全面否定的な反論(Journal of Economic Literature誌2008年12月号)を合わせて読まれると良いであろう(なお、評者は、クラーク教授とアレン教授のどちらにも軍配を上げることは出来ない)。

昨今、まことしやかに、国家の「成長戦略」なるものが語られることが多くなったようであるが、「国家」が、その国家の経済成長のために何をなすべきなのか、あるいは、何をなさないべきなのか。そもそも、「経済成長」とはどのような理由で生じ、持続あるいは衰退するものなのかについて、人類はまだ確定的なことを言える段階に至っていないのではないかという思いを新たにした。なお、翻訳は、リサーチャー(日本語で言うところの経済学者)によるものではなく、プロの翻訳者になるものなので、大変読みやすいことを付言しておく。

大山鳴動して……の困った本。上巻は、昔は人口増えると飢え死にしたという話。
うーん、大変に困った本で、上下二巻の大作ながら結論は実に平凡で、経済学の常識が直球ストレートでくるだけ。本書が設定する基本的な問題は、なぜ人類一〇万年の歴史で、産業革命のときに急に発展が始まったのか、というもの。おお、この重大問題に答えを出すとはなんと大胆な! で、答えは?

技術革新で労働生産性(または効率)が上がったからだ! みんなががんばって働くようになったからだ!!!

……えーと……はあ、さようですか。で、なぜ突然技術革新してがんばって働くようになったんでしょうか?

わからん!!!!

……クラークさん、それはないでしょう。労働生産性が所得や豊かさに直結するのはいまの経済学のジョーシキ以前で、某あるふぁぶろがーですら(形式的には)知ってることだ。そしてその理由がわかんないというなら、結局この本はなんでしたの?

上巻はまず、産業革命までの経済史。人間の幸せや豊かさはすべて物質環境(摂取カロリーや寿命等々)で決まる、というのを述べてから、人類史は過去十万年にわたってマルサスの罠にとらわれてきた、と述べる。人口が増えると食料生産が追いつかずに死亡率が増えるし、定住して生産力が上がると集住による伝染病リスクが増えて死亡率もあがってまた元の木阿弥だ。これまではその罠から抜け出せなかった、というのが延々と各種のデータで示される。

でも産業革命はそこから抜け出した。なぜ産業革命が起こったのかはよくわからなくて、識字率とか衛生とか知識とかがなんとなく高くなっていたからだけど、でもわかりません……というところで上巻はおしまい。(下巻に続く)



幸せとは何かを改めて考えさせられた。
 本書は、表題のとおり旧石器時代から現代に至る人類の歴史を通じて、いかに経済的に発展してきたのか、なぜイギリスで産業革命が起こったのか、なぜ国際的な格差が生じるのかといった数々の疑問を解き明かしていく大作である。

 ジャレドダイアモンドは、人種による優劣など存在しないことを明確に著したが、本書は、現代と石器時代の生活水準や豊かさに何の違いもないことを数々のデータを持ち出して露わにしている。

 というよりむしろ、現代社会よりも数々の点で優れた社会制度であった側面を持つことに驚愕させられる。たとえば、栄養摂取量。たとえば、1800年に比べての平均余命。
また、1300年のイングランドと2000年の英国の経済制度について12の基準で比較したところ、5つについては現代よりも高く、5つについては現代と同様であった。
とくに、社会階層間の移動性という項目では、1300年頃の人々は常に社会階層を移動していたという事実。

 ただ、産業革命以前の経済活動では、マルサス的経済法則すなわち、人口の増加が食料不足を生じ、このためアダムスミスの主張するような国家運営はできない時代であったという。
皮肉なことに、ペストの流行後ヨーロッパでは生活水準が大幅に向上したという。

 また本書では、中世日本の衛生水準の高さを評価している。当時西洋にはなかった排泄物の再利用や入浴の習慣、排泄後の手洗いの習慣。靴を脱ぐ習慣や、打ち水、高床式の住宅。

 衝撃的なのは、現代が物質的な豊かさや平均寿命の延長など経済的に豊かになっているにもかかわらず、狩猟採集時代の祖先に比べて少しも幸福になっていないという事実をあげている。
 特に日本では、幸福度はむしろ低下しているという。

 幸せとは何かを改めて考えさせられた。


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