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軍事戦略と経営戦略の融合 ![]()
軍事と経営戦略を融合させるということをテーマとした意欲作と思います。
キュービックグランドステラとジーと聞くとなんだか難しく感じますが、要は物事を多面的に捉えて戦略を
練るということ。確かに人は一元的に偏ってに物事を判断してまうことが、案外多いように思います。
物事を物理的世界、心理的世界、知性的世界と3つの側面からバランスよく認識し、戦略を立て、実行して
行くということでしょうか?ハンニバル、ロンメル、ナポレオンなどこの本の中で、とりあげられた事例は痛快です。
ただ、できれば日本の事例も入れて欲しかった。鵯越の義経、墨俣の一夜城の秀吉。田楽狭間の信長。
日本にも軍事の天才がいると思うのですが。??
卑近な例で恐縮ですが、私の現在、属している業界でも、私の会社は値段がどこよりも高く、それに対する
苦情も多いのですが、それでもたくさんの顧客が支持してくださいます。品質がもちろん良いという理由
あるのですが、この業界内では比較的古いので、心理的安心感も顧客に与えているのでしょう。
コンプライアンスなどにもひじょうに厳しく、面倒に思うときもあるのですが、他社との違いがそこから
生まれ、顧客から信頼を得ているように思います。なるほど価格(物理的世界)だけが理由ではないのですね。
自分たちの戦略に欠けていることがみえる ![]()
同じ内容を繰り返し、それでも少しずつグレードをあげながら展開していく話の進展が遅い。しかしそれによって本書の主張への理解が深まる手段となっています。
強者の理論、弱者の理論と漠然と理解していたクラウゼビッツとリデル・ハートの違いも明確に分かり、さらにそれでも不足している要因を示したポパーの戦略理論が戦争に限らず経営などにも生かせるように示されています。現実に商品を売るための要因までは具体的に示されていませんが、自分たちの会社で売上に繋がる戦略で欠けていることが漠然と見えてきます。
あとがきに示された米国での軍事と経営の融合には感心させられました。
戦略論のブレイクスルーの予感 ![]()
合理的な戦略をとっていると思われる組織が淘汰される不条理が生じるのは何故か。それは、一元的な世界観に基づいて特定の世界だけを対象とする戦略を展開しているからである。例えば、クラウゼヴィッツの軍事戦略やポーターの経営戦略は物理的世界での戦略なので、その世界でのみ戦略を展開しても淘汰される可能性があると著者は説く。
そのような不条理に陥らないために、著者が提唱するのは、科学哲学者ポパーの多元的世界観に基づいた「キュービック・グランド・ストラテジー」という立体的大戦略だ。しかも、それは常に不完全なものなので、批判的議論によって絶えず変化させる必要があり、自律的なメンバーから成る組織を、フローとしてマネジメントすることの重要性を説いている。
軍事戦略論は、戦略論の本家であり偉大な古典を有しながら、新しい概念を提示できていない。他方、経営戦略論は、もともと軍事用語であった戦略という概念を導入した新しい分野であるが、歴史が浅いこともあって未熟で混沌とした状況にある。残念なことに、これまで日本において両者の知的交流はほとんど見られなかった。
本書は、軍事戦略と経営戦略を科学哲学によって見事に融合させ、オリジナルな概念をも提示している。戦略論のブレイクスルーになるのではないか、そう予感させる著作である。
明日を生き抜くために ![]()
本書は、明日を生き抜きたいと考えるビジネスマンすべてにおすすめしたい書である。
本書の主張を要約すれば、次のとおりである。まず、ノーベル経済学賞を受賞したサイモンの限定合理的な人間観を確認し、その上で科学哲学者カール・ポパーが主張した多元的世界観である物理的、心理的、知性的世界に対して戦術を展開するキュービットグランドストラテジーを展開している。最終的には、カント哲学の特徴である批判的精神に基づいて、世界的な経営学者である野中先生の最新理論を発展させる野心をみせつけている。それは、「クリティカル・マネージング・フロー」の世界観として結実し、展開されている。このように偉大な賢人の知見をあますことなく取り込んだ理論構成となっている書といえるだろう。
また、現実への理解を深めるためにケースでは、クラウゼヴィッツ、リデル・ハート、ロンメル、ハンニバル、ナポレオン、孫子などの議論を取り入れている。このケースにより、現実への説得性を高める工夫がなされている。とりわけ、ロンメルのケースは、号泣すること必至である。涙なしでは読みぬくことが出来ないことを覚悟して欲しい。手元にハンカチを用意することをおすすめしたい。以上、軍事関連専門家のみならず、ビジネスマンが「明日を生き抜くために」真剣に読んで欲しい一冊となっているといえるだろう!!
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